魔法
「石を掴んで持ち上げたとき、石から見れば移動になる。
魔法というのは、そういうことじゃ」
王への占いじじいの解説
魔法とは、 空間内に遍く存在する魔力の流れを恣意的に方向付けることで、 そのエネルギーを利用した現象を発生させること、 あるいは発生させた現象のことを指す。 そして、現象を発生させるための魔力の流れに手を加える技術を、 魔術を呼ぶ。
魔力は人間の思念によってある程度の操作が可能だが、 極めて効率が悪く、 素人が闇雲に挑戦してもほとんどの場合では何も起きない。 この魔力操作の効率を向上させるために、 呪文や文字などで補助する技術が発展したのが、 魔術というわけである。
元力魔術
ドルイドの魔術を源流とする、 魔力を導く言葉により自然現象を操る魔術体系。 地水火風を始めとして光や闇、雷に氷など、 自然に由来する現象を具現化し、 操作する。
アルビオン島において、 長き戦乱の最中に発展した実戦的な魔術。
〈言霊〉技能により、 属性物理魔法に属する特技を行使するのが一般的。
ドルイド魔術
エリン島のエルフ人たちに今も伝えられる、古い魔術。 主に特権階級たるドルイド僧が行使するために、 ドルイド魔術と呼ばれる。
ドルイドの魔術は、詩や歌の形で行使される。 彼らが詩を口ずさめば動植物は恭順の意を示し、 人々は心を奪われるという。 また、動物へ姿を変える術なども多い。
〈言霊〉技能か〈呪歌・呪曲〉技能により、 生命、精神魔法などがよく使われる。 また〈調教〉技能や《使い魔》により動物を使役する者や、 変身する者も珍しくない。
ルーン魔術
神より伝えられたと言われる、 魔力の流れを制御するルーン文字を使用する魔術体系。 ルーンの組み合わせにより、様々な現象を実現させる。
各地にそれぞれ独自に発達したルーンが存在するが、 最も有名なのはドワーフ人たちの間で古くから伝わるルーン。 今でもノルド地方やノイエ・ドラゴニア帝国ではポピュラーな魔術である。 特にノイエ・ドラゴニア帝国では、 ルーンによる魔器の製造が盛ん。
〈記号〉技能により使用する。 記号の刻まれた物品を使うか、 その場で魔力の線により空中にルーンを描き出すのが一般的。
七星魔術
七種に分類された魔力の偏向性を物品に刻みこみ、 優れた魔器を作り出す魔術体系。 または、そうやって作られた魔器を使いこなす技術。
七つの力はそれぞれ星、 日月火水木金土に対応づけられ、 そこから七星の力を宿すとして七星魔術と呼ばれる。
七星魔術による魔器を作成する技術はヘクサウァの秘伝であり、 国に認められた正規の職人にしか伝授は許されない。 作られた魔器を使用するだけなら、〈触媒〉技能で良い。
奇跡
神への信仰心を以って、 望む現象を発生させる魔術体系。 媒介とする信仰心を強く意識するために、 祈ることから聖句の詠唱や身振りなどを伴う。
使用するのはエール教の信者に限定される。 体系だった魔術ではなく、 あくまで個々の信者が信仰心を媒介に魔法を発現させるための、 個人的な儀式に過ぎない。
本来は他の魔術の使い手だったのが、 奇跡の使い手に転向することもある。
奇跡は〈信仰〉技能で使用する。 使用する特技は治癒や属性物理魔法の光などが多い。
超能力
言葉や文字、儀式、身振り手振りなどの手順を一切必要とせず、 念じるだけで行使できる特殊な魔術。
体系的なものは存在せず、 個人個人によって感覚で使用する。 ほとんどのケースにおいては先天的に修得しており、 天性の素質が必要。
余計な手順が不要な分だけ強力ではあるが、 実際に起こせる現象は術者個人に依存し、 融通が利かないという欠点もある。
〈思念〉技能で使用する魔法は、 基本的に超能力に当たる。
異能力
生まれつき特殊な器官を持ち、 それにより特異な現象を起こす能力。
思考により外部の魔力を操作するのではなく、 魔力を操作するようにできている器官を持つのが特徴。 この器官は魔力を方向性づける機能を持ち、 持ち主は意識するだけで固有の現象を発生させることができる。
あらかじめ持っている機能以外は何もできないくらい融通が利かないが、 その分だけ強力な威力を発揮する。 また、死んだ後もその器官は機能を保ち続けるため、 取り出して他人が使うことも可能。
器官は〈魔器〉の発動体で表現し、 〈触媒〉技能で扱う。
その他
西方からやってきた黒髪の民の間では、 紙に書いた文字による符術や 真なる言葉による真言魔術など、 独特の魔術体系が伝えられている。
また、 変り種として肉体で魔力を制御する気功術があり、 これはテーナの聖闘士のみが使う特殊な闘法と同根のものではないかとして、 一部の学者から注目されている。
魔術研究家イストール著『魔術事典』より抜粋