ゴール王国
- 政体:王政
- 国土:大
- 人口:大
- 気候:西岸海洋性
- 首都:リュテス
位置
大陸の西海岸沿いに大きな国土を持つ大国。
北、西、南と海に面し、 国土はほぼ六角形をなしている。
海を挟んだ北にはアルビオン島がある。
風土
西から北にかけての海岸沿いは、 付近を流れる暖流の影響で気温の年較差、日較差とも小さく、 冷涼でありながらさほど寒くなることはない。
そこから東の内陸に入るに従い、 徐々に年較差、日較差が拡大し、 降水量が増大していく傾向にある。
特に南部から東部にかけての高地では気温の変動が激しく、 冬にはミストラルと呼ばれる強い北風が吹き荒れ、 厳しい寒さをもたらす。
一方、南海岸沿い近辺では、 打って変わって乾燥した暑い夏に温かい冬という、 温暖な気候になる。
東端から南部にかけて山地や山脈という自然の国境がよこたわる以外は、 ところどころに高原や丘陵がみられるものの、 おおむね低く平らな土地が広がっている。
国土の中でもっとも広い領域を占める比較的平らな地域は、 東の国々に続く広大な平原の西端部にあたる。 ゆるやかな起伏の平野で、高所でも標高 200[m] 程度。 多くの支流をあつめた大河が幾本も流れ、 近隣諸国の中でも最も肥沃な地域に挙げられる。
歴史
1000 年を遡る昔には、この辺り一帯には多数のエルフ人部族が、 川を隔てた東のドワーフ人と、 山を挟んだ南のレムラと、 そして付近にいる他のエルフ人部族との間で諍いを繰り返しながら 住み着いていた。
文字を持たない彼らを記録していたのは、 1000 年前に現ゴール王国の土地を飲み込んだ古代ドラゴニア帝国である。 ドラゴニア帝国の一員となったエルフ人たちは、 急速に文明化していく。
それから 500 年、 ドラゴニア帝国の衰退と ドワーフ人たちの無秩序な侵攻により、 大規模な戦乱の舞台になる。
人の移動と国の興亡が繰り返される中、 200 年前に1つの国が急速に勢力を拡大し、 広範な版図を持つ大国となる。 これが、ゴール王国である。
今では当時の 1/3 のサイズでしかないが、 それでもなお、周辺では最大の勢力を持つ大国である。
内情
長い歴史と高い国力を兼ね備え、 良くも悪くも内情は安定している。
長い時の間に貴族と宗教は肥え太り、 庶民に比べて圧倒的な財産と権力を有している。
中でも最大の貴族である王族の力はかなりの物であり、 反旗を翻すことを考える貴族は極少数で、 専ら王に取り入って恩恵を得ることを考えている。 当然、裏では貴族の派閥間の熾烈な争いがあり、 陰惨な陰謀劇が展開している。
ある意味、 国のシステムとして安定した、 王を頂点とした綺麗なピラミッド構造ができあがっているとも言える。
ただし、 贅沢と平穏の中での内部抗争が日常化しており、 王や貴族は内政や外交に対してはまるで無関心な状態でもある。
外交
東の隣国のノイエ・ドラゴニア帝国とは元々一つの国であったこと、 その癖に文化や風習の面では差があることから、 強い対抗意識を持っている。
南方のレムラ共和国や西方に海を隔てたカーディック王国のことは 見下しており、 格下の中小国として侮っている。
人種
かつては、数多のエルフ人部族が存在していた地方。
それから、 ドラゴニア帝国の一部としての 500 年、 ドワーフ人部族の支配から始まる建国、 幾たびの戦争とその度に起こる領土の変化などを経て、 現在では混血の進んだニューマン人の国となっている。
似たような境遇にあるアルビオン島の住人と、 外見的・文化的差異はほとんどない。
産業
広大かつ肥沃な平原を利用しての大規模な混合農業が行われており、 小麦に大麦、テンサイ、鶏卵、乳牛など、どれも高い生産高を誇る。
これにより大陸西部の食料庫として知られ、 ゴール王国の豊かさを担っている。
また、 葡萄酒の名産地、本場としても有名であり、 質の良い葡萄酒が造られている。
軍事
高い国力を背景にした、 数の揃った重装兵が特徴。 その圧倒的質量の群れにより、 敵軍を正面から圧し潰すのが基本的戦術となる。
機動力には難があるものの、 平地における突破力は相当な物となる。
ただし、 家柄や権謀術数にのみ長けた貴族から成る指揮官と、 無理矢理に集められただけの農奴からなる兵隊は、 能力、士気、共に低く、 全体として質より量という感は否めない。
重騎兵
軍の中核を占めるエリート兵。 構成員は全て貴族 (馬を養えるだけの財産を持つ者) である。
騎馬と兵士は共に甲冑に身を包み、 槍を持って突撃する。
その重装備ゆえに高い防御力を誇るが、 騎兵の利点である機動力が低下しているという欠点も持つ。
そして低機動力ゆえに、突撃以外の用途で運用されることはまずない。
重装歩兵
軍の主力を担う歩兵部隊。 基本的には、各貴族がそれぞれの力量に応じて抱えている私兵の寄せ集めである。
体格の良いゴールのニューマン人たちが重甲冑と盾で身を固め、 異常な堅固さを持つ集団となっている。
正面からのぶつかり合いではほとんど負け知らずだが、 しばしば策にはまって痛い目を見る。
弩隊
ヘビークロスボウを装備した支援部隊。
プレートメイルも貫く火線を集中させることにより、 驚異的な火力を実現している。
基本的には、騎兵が突撃する前の段階でのみ使用されるが、 新たな主力として運用することを考えている者もいる。
魔術
武器や鎧が発達するにつれて相対的に魔法の脅威力は減少していき、 徐々に魔法は軽んじられてくるようになった。
更には国中に広がったエール教が魔術を嫌い、貶め、 また代替物として自分たちの“聖者”を提供したために、 魔術師自体が胡散臭い目で見られるに至る。
今では、 一部の変わり者が趣味で学ぶか、 あるいは目端の利く有力者が密かに魔術師を確保しているに過ぎない。
宗教
エール教が国中を席巻し、 一般的には他の宗教は認められていない。
それだけにエール教の存在感は強く、 国王に意見して国政にすら影響を及ぼせる力を持つ。
そして聖職者が貴族に並ぶ力を持った結果、 腐敗が横行しているのが、 真摯な聖職者からしばしば批判の対象になる。
重要人物
マルク・ド・ナール 3世
現ゴール王国国王。
何事もなく父から王位を受け継ぎ、 十数年の間、大過なく王を務めてきた老人。
何の意欲も野心も見せず、 政治には無関心。 日々を宮内の晩餐会や趣味の狩猟に費やしている。
マドレーヌ大司教
ゴール王国の教区を統括する、 エール教のお偉いさん。 でっぷりと太った男。
顔にはいつも優しげな笑みを浮かべており、 信者からの評判はいい。
金髪のジャン
モンドール山に根城を持つ、 ゴール王国内では最大規模の山賊“獅子鷲団”の首領。
当人たちは義賊を謳っているが、詳細は不明。
元軍人や元貴族も多数いると言われ、 かなりの戦力を持つゴール王国の頭痛の種。
観光
ランブイエ宮殿
マルク2世が造らせた、 美しい庭園を伴った豪奢な宮殿。
ここでは日夜音楽が鳴り、 舞踏会が毎夜のように催され、 バレエやオペラ、芝居が演じられる。 あでやかな貴族男女を乗せた馬車は郊外を散策し、 日が落ちれば庭園につくられた大運河をゴンドラの群れが下る。
臣下たる貴族たちはここでの生活により骨抜きにされ、 王からの寵愛を得るべく争うという。
大聖堂
古代ドラゴニア帝国期には古代の神の聖地であった、 リュテスを流れる川の中洲にある島に作られた大聖堂。
60年余に及ぶ歳月を費やして作られた大規模な建造物であり、 ゴール王国における教会の権威の象徴。
ドラコーネ山脈
ゴール王国の南部から、ヘクサウァ王国、レムラ共和国を通って ノイエ・ドラゴニア帝国まで続く長大で険しい山脈。
その名の語源の通り レッサードラゴンたちの一大拠点ともなっており、 非常に危険。 大陸西部では悪魔の森と並んで1,2を争う魔境である。
古代の戦争において、 軍隊が敵の後背を突くためにドラコーネ山脈を越えたという逸話は、 今も伝説として残っている。
不安材料
エール教の台頭
あまりに一般化し過ぎたために、 エール教の影響力が無視できないほど大きくなっている。
これはつまり、国内に第二の貴族がいるようなものであり、 内部の足並みの不一致に繋がるとして懸念材料になっている。
隣国の国力増強
ライバルであるノイエ・ドラゴニア帝国は改革が進行中であり、 現皇帝の下に急速に纏まりつつある。
また長きに渡って戦乱が続いていたアルビオン島がカーディック王国により統一され、 国境付近に確保していた影響力も台無しにさせられる。
このように東西の両国が国力を増してきているのに対し ゴール王国は旧態依然とした体制のままであり、 いざ戦争になったときに持ちこたえられるのかという不安の声が一部から上がっている。