竜機大戦ドラゴマキア

カーディック王国


位置

大陸の北西部から目と鼻の先にある大きな島、アルビオン島全域を支配する。

アルビオン島と大陸とは泳いで渡ることも可能な程に近いため、 人の行き来も頻繁で戦争も珍しくない。


風土

位置的にはやや北寄り。 夏は短く涼しいが、 島の付近を流れる暖流の影響で長い冬もそれほど寒くはならない。

ただし、東海岸沿いでは、 北東部から冷たい風が吹き込んで急激に気温が下がることがある。

年間通じて雨の日が多いが、 降るのも止むのも突発的で雨量も少ない。 その代わり湿度が高く霧が多い。 虹も良く出る。

 

地形は、北部が高地で南部が低地になっている。 高い山や深い谷は存在せず、 起伏の少ないなだらかな土地が広がっている。

太古には森で覆われていたらしいが、 長きに渡る戦乱と開発の歴史の末、 現在では原生林はあまり残っていない。

まばらに生えた木と見渡す限りの牧草地が、 この土地の標準的な風景である。


歴史

アルビオン島で最も古い記録は、 1000 年前の古代ドラゴニア帝国の侵略により始まる。

ドラゴニア帝国の記録によると、 彼らが進出する以前には、 文字を持たないエルフ人の小部族が乱立していたようだ。

そうして島の南半分がドラゴニア帝国の一部となって 500 年、 勢力衰退によりドラゴニア帝国から放棄され、 ドワーフ人部族の侵入が繰り返される戦乱地帯になる。

雑多な小国家が林立してから 400 年、 その中の幾つかの国が強い勢力を持つようになった島は、 ノルド王国からの侵攻を切っ掛けに再び激しい混乱状態に陥る。

そんな中で、つい数年前に島の勢力を統一して生まれたのが、 現カーディック王国である。


内情

長い戦乱を征した直後の国であるだけに軍の練度は高く、 影響力も強い。 王はその軍事力を背景に、諸侯の上に君臨している。

各地の豪族の中には野心を持つ者や現王に不満を持つ者も多いが、 現状で歯向かえるだけの力は有していないため、 少なくとも見た目上は大人しくしている。

国内の支配体制はまだ完全に確立しておらず、 政治を行う上での組織も未熟で人手も足りていない。 王の親政によって、 急速に国内の統制が進められつつある。


外交

統一間際に海を隔てた南の隣国のゴール王国から干渉があり、 一戦を交えた経緯がある。 今は休戦しているが両国の仲は良好からは程遠く、 緊張状態が続いている。

西にはすぐ傍にエリン島が接していて、 そこの済むエルフ人部族たちの多くとは同盟関係にある。 ただし同盟と言っても、 実質的にはカーディックの属国に等しい。


人種

かつてのアルビオン島にはエルフ人が住んでいたが、 大陸からの度重なる侵攻と支配の繰り返しにより混血が進み、 その特徴は失われている。

現在では、 ゴール王国等、大陸西端の住人との外見的・文化的差異はほとんどない。


産業

羊毛を用いての毛織物が盛ん。 当然、その材料となる羊の飼育も盛んであり、 島中の到る所に牧草地帯で草を食む羊たちを見ることができる。

東部では小麦の栽培がされているが、 雨が多く土地が痩せているアルビオン島では質、量ともに大した収穫は見込めない。 最近では南方の大陸より持ち込まれた芋を栽培する所が増えている。


軍事

数はそれほどでもないが、 戦乱を経て鍛えられた精強な兵が揃っている。

中でも、 常に軍の中心として戦場の真っ只中にいた王と側近の騎士たちは、 それぞれが一騎当千の戦闘力を有している。

特に王は軍最強の兵士であり、 常に先頭を切って敵陣に突撃したとも言われる。

赤竜の騎士

カーディック王国軍の中枢を占める、王直属の精鋭。 その名称は、カーディックの伝説上にある古き赤竜に由来する。 現王と共に戦乱を戦い抜いてきた一騎当千の戦士たちで、 戦場では指揮官として兵を引き連れて戦う。

現在は全員に爵位が与えられているが、元々の出自は様々。 武装や戦術もまちまちで、あまり統制は取れていない。

現在の構成人数は 12 人。 これはその時々で増減する。

実質的にカーディック王国の幹部であり、 国政にも関わる。

長弓隊

元々は精鋭はいるが兵力に乏しいカーディック軍が頭数を揃えるために作った、 寄せ集めの即席部隊。 戦場においては、遠距離から支援するだけの補助的な役割だけを与えられていた。

しかし、戦乱末期にゴール王国の軍団が進入してきた際、 主力を欠いた防衛軍の中心として大きな戦果を挙げ、 名をあげる。

この戦果により軍内での地位は向上し、 一端の正規軍並に扱われるようになるが、 卑しい身分の者たちで構成されていることもあって、 分不相応な待遇として嫌う者も多い。

ゴール王国からは、カーディック軍の主力と認識されている。


魔術

元々は土着の宗教に由来する、 自然に働きかける術が普及していた。

外部からの侵攻と戦乱の時代、 それに新しい宗教の流入と普及などの理由により 土着の宗教は見る影もないが、 実用品としての魔術は残った。

戦うための手段として洗練されたアルビオン島の魔術は、 自然現象を操り、現実に直接的な干渉をする魔法に長ける。

数はさほどでもないが、 軍でも魔法の使い手は重要な位置を占める。


宗教

大陸から伝わったエール教が、 一般的な宗教として広く普及している。

しかしその内容は土着の宗教と結びついて変質しており、 例えば悪であるはずの竜が貴ばれるなど、 大陸とは大きく異なる物となっている。

エール教の総本山である教会の影響力もあまり強くなく、 現在ではカーディックの王家が国内の聖職者たちを統括する形になっている。

そのために教会からは良く思われていないが、 アルビオン島が遅れた野蛮な地方と見なされていることや 物理的な距離の遠さもあって、 今の所は大きな問題には発展していない。


重要人物

“竜王”ディアン・アヴァロン

長きに渡ったアルビオン島の戦乱を征した若き王。

元は島南西にあった小国カーディックの出身で、 その類まれなる軍事的才覚により自国を滅亡の危機から救ったのみならず、 島の支配者にまでのし上がる。

秘境より持ち帰ったという神域の魔剣を所有し、 戦場では圧倒的な武勇を以って軍を率いていた。

噂では古の赤竜の血を引くとも言われているが、 本人は否定も肯定もしていない。

“占いじじい”ミルディン

先王の時代からカーディックに仕える年老いた魔術師。

現王の幼少期には教育係を務め、 今は側近として王の相談相手となっている。

老齢を理由に決して表舞台に立とうとはしないが、 裏で何をやっているか分からない如何わしい人物として、 忌避する者も多い。

世界最高の魔術師であるという噂に対し、 実際に彼が魔術を行使する所を見た者がいないという事情が、 より彼の胡散臭さを増しているようだ。

なお“占いじじい”という呼び名は、単なる彼の自称である。


観光

竜の聖域

アルビオン島最大にして、異形の環状列石ストーンサークル。 島の南西部に存在。

島内にはこの他にも多数の環状列石ストーンサークルが存在するが、 聖域と呼ばれるここだけは規模が桁違いに多く、 またその構造や造詣に大きな差異が見られる。

何のために作られたのかは全くの謎に包まれているが、 地脈のエネルギーを大量に蓄積していることだけは判明しており、 何らかの鍵によって起動する大規模な魔動施設ではないかと推測されている。

少なくとも、ドラゴニア帝国の侵攻以前から存在していたことは確認済み。 一説によると聖域は神代の遺跡であり、 他の類似した構造物は後代の人間がこれを模倣したのではないかと言われる。

グレアム防壁

古代ドラゴニア帝国時代の遺跡。 かなりの長距離に渡って続く強固な城壁。

用途、目的は不明。 推定される建造時期では付近一帯が帝国の勢力下にあり、 敵対勢力は存在しなかったとされる。

かなりの強靭な防壁であり、 帝国にとって強力な敵がここに存在したことが知れる。

霧の湖

一年中、霧に覆われた不思議な湖。

付近で行方不明になった者が多くおり、 近隣の住人は決して近づこうとはしない。

近年、調査のために騎士たちが派遣され、 誰も帰ってこなかったという事件も起きている。


不安材料

豪族の不満

古くから地元を支配してきた豪族たちは、 突如に台頭してきたカーディック王国を必ずしも快く思っていない。

特に、武力に物を言わせて我が物顔で振る舞い、 力しか取り柄のない乱暴物 (と思っている) の騎士たちが地元のやり方に指図してくる様は、 しばしば憎しみの対象にすらなっている。

武力では全く相手にならないために現在は大人しくしているが、 次第に既得権益を削られていく豪族たちの不満はかなり強く、 可能となればいつ蜂起してもおかしくないだろう。

ゴール王国からの干渉

ゴール王国は、 かつてのアルビオン島の南東部を勢力下に置いていた関係上、 カーディックにより統一され、 狭い海峡を挟んで国境を接している現状には、 不満や危機感を抱いている。

そのため、 カーディックの力を削ぎ、 ゴール王国の影響力を強めるため、 様々な工作を行っているという。

今すぐに戦争が起きる、というわけではないが、 予断を許さぬ状況にある。