タツノクタ
50年前、西方より来た黒髪の民の作り出した国。 故国から追われて船で東へ出発した彼らは、 長い船旅の末に誰にも知られていない小島にたどり着き、 そこを新天地に定めた。
未知の国から来た彼らは、 周辺の国々とは全く異なる言語、文化、技術を持つ。 島内の生産量は決して豊かとは言えないが、 戦闘力や技術を売り物にすることで住民の生活の糧を得ている。
政体としては合議制を敷き、 各小集団の代表が話し合って方針を定めている。
アワシマ島
黒髪の民の移住により初めて知られた、 アルビオンとエリンの南方、ゴール王国の西方に浮かぶ小島。
島の周辺は常に霧で覆われている。 霧の外側と内側では風も海流も気温も全く違うという出鱈目さで、 一種の異常地帯となっている。
四季の移り変わりと共に気候は激しく変動し、 夏は多湿でうだるように暑く、 冬は雪が降り、凍えるほど寒い。 初夏には激しい雨季も存在する。
土地の高低差は激しく、 海と山の合間の狭い平地に人口が密集している。
黒髪の民
西方から船に乗り移住してきた人々。 小柄で背が低く、平均身長は成人男子で 160[cm]ほどしかない。 また例外なく頭髪の黒いことから、黒髪の民と呼ばれる。 手先が器用で、優秀な職人を多く抱える。
一口に黒髪の民と言っても実は2つの部族の混成であり、 言語や文化には大きな差異がある。 当然、その間には少なからぬ軋轢が存在するが、 苦しい困難を共に乗り越えてきた仲間意識を持ち、 今のところは大過なく共存している。
黒髪の傭兵団
島内での生産が安定しない時期に、 外貨を稼ぐ手段として生み出された戦闘集団。 他国からの要請に応じ、代価と引き換えに戦う傭兵部隊。 団員の頭髪の黒いことから、黒髪の傭兵団と呼ばれる。
元々、故国では長期に渡って戦乱が続いていただけに高い戦闘技術を持ち、 そして仲間の生活がかかっていただけに、雇われ先の戦場では死をも恐れずに戦った。 それが独特の衣装、独特の武装、独特の技術による異質さと相まって、 他国の兵士からは非常に恐れられ、忌み嫌われた。
現在では外貨獲得の必要性はかつてより薄れているが、 それでも重要な収入源として、 自国の恐ろしさを知らしめる存在として、 厳しい掟と伝統によりかつてと変わらぬ姿で在り続けている。
鋼
周辺には存在しない、 黒髪の民がもたらした製鉄の最新技術により生み出される金属。 それまで使われていた鉄とは比較にならない強靭さと柔軟さを持つ。
タツノクタの特産品であり、黒髪の民の存在を他国に知らしめた程の物。 最近では技術の流出により他国でも鋼を製造するようになっているが、 製造についても加工などの取り扱いについても依然として圧倒的に優秀な技術を誇っており、 タツノクタ製の刀剣と言えば極めて高い値で取引される。
剣術
黒髪の民が故国から持ち込んだ剣技。
主に鋼により生み出された片刃の曲刀を手に、 鉄をも切り裂く鋭い斬撃を繰り出す。 斬ることに特化したその業は速く鋭いばかりでなく、 極めし者はこの世にあらざるものすら斬るという。
黒髪の傭兵団の活躍により彼らの使う特異な戦闘技術として有名になり、 他国にも徐々に広まりつつある。