天使
『十の天使からなる百の軍団が降り立ち、
忠実なる千の使徒を従えて、
悪魔により堕落した万の邪悪が住む都市を焼き払い、
十万の平安を守った』
聖書の一節より
エール教と天使
天使といえば、 エール教にしばしば登場する翼を生やした神の使いである。 ただし天使自体はエール教の創作物というわけではなく、 より古い資料にも天使について記されたものがある。
それを邪悪を滅ぼす天の使いとし、 天使と名づけたのがエール教だ。 それ以前は地方によって認識は様々で、 例えばノルドのヴァルキリー、 エリンの妖精騎士、 ヘラスのダエモーンや東方のイフリート、 戦い続ける死者の軍団などは、 全てこの天使を指していたのではないだろうかと推察している。
外見・能力
頭髪は白金に発光し、 背には白く発光する半透明な翼を持つ人間に酷似した存在。 その翼で空を飛び、 手に持つ弓からは光の矢を放ち、 目標を焼き払うとされる。 更に天使のほとんどは歳若い少年少女の姿をしており、 老人を含む成人は少ないようだ。
なお、目撃証言の中には上記の条件に反した物 (黒髪、光の剣、赤い翼など) もあったが、 数が少ないため例外として省いたことを付記しておく。
生態
彼らの生態について、わかってることは多くない。
過去の目撃例では、 どこからともなく上空に集団で出現して光の矢で地上を一斉掃射、 しばらくするとまた、 どこへともなく消えていると言う。
見た目は人間に似ているが、 知性を持つか否かは定かではない。 コンタクトを試みた例はあるが、 成功した試しがない。
敵
攻撃対象は村や町など人間の集落であったり、 森の一部や草原の一区画、 あるいは人間の軍隊を襲った例もある。
彼らの狙いが何であるのか、 詳しいことはわかっていない。 が、いくつかの例では、共通点と思わしき箇所がある。
攻撃目標の中に、 異形化した生物が含まれているのだ。 確認した限りでは、 異形化が伝染病のように蔓延した村、 魔境と化した森などが、 かつて天使たちによって周辺の物もろとも焼き払われている。
断定はできないが、 天使とは異形化した生物を攻撃する習性があると言って良さそうだ。
ただし、異形を狙う理由は不明である。 捕食活動にしては、 攻撃が殲滅戦であるのが謎である。 エール教による“邪悪を滅ぼすの神の御使い”という解説は、 この点に関しては全く矛盾がない。
その他
その他、 どこに生息しているのか、 どうやって繁殖しているのか、 そもそも、通常の生物の枠に当てはめて良いものなのかどうか、 全くわかっていない。
その不明さは神秘さとなり、 古くから伝説や神話と絡められる所以である。
天使研究家イストール著『神秘の軍団 天使』より抜粋