スタイル -ミュータント-


2003/12/30

ミュータント

 人々がシェルターに逃げ込んだとき、外の世界に取り残されながらも、 急激な突然変異と進化を繰り返して生き延びた者たちが、変異体(ミュータント)である。

 ただし、実際にはもっと前から変異体は誕生していた。 かつての大戦時に地球上に蔓延したウィルス、 「ナイアールHT1」に感染しながらも生き残った者たち。 彼らは、その時点で遺伝子に変調をきたしていたのだ。 一見、五体満足な者でも、その子孫には確実に影響が出る。 死産や畸形も増えた。
 しかし、彼らはナイアールHT1に対する耐性を備えていた。 シェルター内では忌み嫌われ、間引きされた畸形児たちも、 地上では次代の人類として、拡散していったのである。

 現在の変異体には、もはやかつての人類の面影はない。 人類が彼らに見出すのは、自分たちが誇りとする文明をまるで持たない、 野蛮な原始人の姿だけである。
 そこには、人類が失ったたくましい生命力と野生があるのだが、 それには目を向けようとしない。いや、向けたがらない。 彼らを認めてしまえば、自分たちが否定されなければならない。 そんな想いが、あるのかもしれない。


変異体の生活

 通常の変異体は集落を作り、 部族単位で暮らしている。 科学技術は失われ、文明は原始人なみにまで落ち込んでいる。 過去の記憶も色あせて、わずかに口伝として残る歴史も、 神話や物語のようにしか扱われない。

 食料は狩猟と採取で調達している。 現在の野生種は全て変異種であり、 動物も植物も非常に危険だが、 変異体たちは、 その中で生きる力と技術を持っている。

 現在の人間たちとの関係は、場所や部族によって大きく異なる。 開拓の助けをし、比較的平和に共存しているところもあれば、 土地を奪うために人が攻め込んだケース、 それを恨み、人に復讐をしているケースなどもある。

 ただし、どんなに友好的なところでも、 人間側からの隔意は必ず存在する。 特に、種族間の婚姻は猛烈な反対に遇うだろう。 変異体と人との混血は、肉体的には変異体としての特性が強く出る。 ほとんどの人間は、自分たちの種が消滅することを恐れ、忌避するのだ。


変異体の種族

 変異体は種族によって進化の方向性が全く異なり、 一口で変異体と言っても、 その実、種族が違えば別の生物と言っても良いほどの差がある。

 ここでは、変異体の中でも有力な種族について、いくつか例を挙げて説明しよう。

 →変異体の種族


人工変異体

 変異体は普通の人間とは比べ物にならないくらい強く、 一部の者は、サイバーとすら互角に戦える。
 これに目をつけた者たちの手により、 人工的に変異体を作り出す研究も行われているという。 現存する変異体を例に、人間に手を加えて、 意図的に突然変異を起こし、変異体とするのだ。

 成功すれば、サイバーに代わる安価で強力な兵器になるとして、 場所によっては、公然と人体実験すら行われている。
 すでに成功例も何体かいるらしい。

 果たして、この技術は人類に幸福をもたらすのだろうか、 そうとなえる知識人もいるが、 誰からもかえりみられないのが現状である。


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