スタイル -マインド-


2003/12/30


マインド

 マインドは基本的にサイコに比較的近い存在である。 やり方や対象は違うが、どちらも情報空間にアクセスして能力を行使する。

 しかし、マインドについては、サイコほどわかっていない。 なぜなら、マインドの能力は物理空間に影響しない。 そして、情報空間を直接的に観測する手段は未だ確立されていない。
 その結果、マインドの能力はサイコに比べて解明が遅れているのである。

 他にも、確認されているマインドの絶対数の少なさもある。
 サイコのような訓練法もほとんど編み出されていないし、 自分がマインドであると名乗りを挙げる人物などほとんどいない。
 それはそうだろう、誰が好き好んで、他人に忌避される能力を公表するだろうか。

 頭の中を覗かれて気分の良い人間などいやしない。 実際にマインドがどの程度のことができるかもわからない。
 であれば、マインドは恐ろしい、近づきたくない、 という意識が生まれるのも当然のことかもしれない。
 そしてそれは、マインドへの迫害という形で現れる。

 そんなこともあり、マインドの地位はとても低い。 一般人の無理解と迫害、それに一部の科学者の暴走による人体実験。
 多くのマインドは能力を隠し、心を閉ざす。 彼らが大手を振って大通りを歩けるのはいつの日か…。


精神感応

 人の脳は、物理的な存在であるが、 人の意識は、物理的な存在ではない。 意識とは、脳の中にあるものではない。 脳は、情報空間とでも言うべき場所にアクセスし、 意識を形作る。 脳は端末であり、その奥には、 別の世界が広がっているのである。

 さて、このとき、情報空間においては、 3次元空間における距離や時間の概念は役に立たないことに注意しなければならない。
 そこは、自分一人しかいない空間とも言えるし、 地球上(あるいは宇宙全体の)全ての人間がいるとも言える。
 そして、それを感知できる者、それがマインドである。 自分の意識領域にアクセスするように、 他人の意識領域にアクセスする。 そうやって、他人と意識をつなげるのである。


弱点

 マインドの能力は人の精神に作用する。 となると、当たり前のことではあるが無生物には(一部の例外を除いて)一切、 効果がない。

 これは何も特技に限らず、 属性が〈フォース〉となっている全てのマインドの闘技にも、同じ事が言える。 この種の闘技による攻撃は、生物にしか効かないのだ。

 その状況でマインドが攻撃を行うには、 何らかの武器(素手でも可)を用いて、〈リアル〉属性にして戦うしかない。 攻撃力は -1 されてしまうが、辛うじて戦うことはできるはずだ。

 もちろん、始めから闘技を〈リアル〉属性にしているのならば話は別である。 その闘技ならば、何の問題もなく攻撃が通用する。 ただし、〈リアル〉属性の闘技には、 マインドの特技を組み込めないことに注意して欲しい。


制約

 マインドの能力が無生物に効果がないことは、上で述べた通りだ。 それでは、生物になら何にでも効くかといえば、決してそんなことはない。

 人は、どこまでも自分の基準でしか物事を解釈・理解できない。 だから理解しがたい他人を理解するためには、 自らの自我を相手の自我に近づける必要がある。 マインドは相手の意識に触れることにより、 その作業が常人よりも簡単に行える。

 しかし、あまりにも異質な相手だと、そうそう上手くいかない。 もっとも、上手くいっても困るのだが。
 例えば虫の思考を理解できるようになったら、 その人物は最早、人ではいられないだろう。 そして当然の事ながら、虫の思考を理解することなど、 しようと思ってできることではないのである。

 つまり、マインドの能力は人に対して最大限の効果を発揮する反面、 人以外の相手には思うように力を発揮できないということになる。 相手が異質であればある程、細かい操作は難しくなることに注意して欲しい。
 例えば、動物が相手であればセーフティランクに -1 、 虫であれば -3 くらいの修正が入ると思っていいだろう。

 ただし、精神的に攻撃する分には、虫であっても大した問題にはならない。 細かい操作はできなくても、力任せに破壊するだけなら、 さして難しいことではないのだ。


電子世界

 マインドの能力は無生物には効果がない。 その例外が、電子的な自我を持つ者たちだ。

 それは全てのマインドに可能なわけではないが、 一部の特異的な能力の持ち主(「エレクトロアクセス」を修得している者)は、 コンピュータ上の人工知能に影響を及ぼすことができる。

 そもそも、人工知能も人間と同じく、 情報空間にアクセスして意識を形作る。 ではなぜ、普通のマインドはその意識にアクセスできないのか。
 それは、その意識があまりにも異質だからだ。 異質すぎて、アクセスしても理解できないのだ。 理解できないのだから、何の影響も及ぼせない。
 それが、ほとんどのマインドが 人工知能に対して能力を行使できない理由だ。

 そしてその例外が、「エレクトロアクセス」の修得者である。 彼らは、人工知能の意識をわずかなりとも解釈することができる。 それゆえに、マインドの能力の対象とすることができるのだ。


能力行使時の注意点

 マインドの能力は基本的に、相手が直接的に見える位置にいるのなら、対象とすることができる。 そしてそれは、精神活動によってのみ行われるため、外見的には何の予兆も現れない。

 しかし、だからといって、それが気付かれないというわけではない。

 他人の意識領域にアクセスするということは、裏を返せば相手からもアクセスされるということになる。 一方的な干渉など、あり得ないのだ。
 この事実は、マインドの能力を使用したとき、対象には絶対に気付かれることを意味している。 つまり、対象に抵抗されたり、カウンターされたりということは、普通に起こり得るのである。

 無論、状況次第では不意討ちのルールは適用されるが、 それはマインドの能力とは無関係だ。


 さて、それでは、対象以外の人物についてはどうであろうか。 これに関しては、その人物による、としか言えない。

 取りあえず事実として、マインドの能力の行使は、周囲の情報空間にも余波が飛ぶというものがある。 これは、それが何であるかを知っていれば、近くにいる人間もそれに気付けるということを意味する。
 例えば、〈サイコ〉や〈マインド〉、あるいは過去に能力の対象となったことのある人物ならば、 自分以外を対象としたマインドの能力の行使に気付けるのである。

 そうでなくても、何か怪しいことをやろうとしている、という事実には気付ける。 いずれにしても、不可知の干渉などあり得ないのだ。


精神感応に対する受動行動の例
 精神感応の対象となったとき、それに気付ければ当然、 抵抗やカウンターなど受動行動を試みることが可能だ。

 例えば、知覚していない存在は能力の対象にできない。 ならば、能力者の視界から消えてしまえば、「避ける」ことができる。

 精神力で耐えてもいい。 相手の干渉力を上回る力で撥ね退ければ、何ら影響を受けることはない。

 自分に自信があるのなら、逆流させるくらいの勢いで跳ね除けてもいい。 上手くいけば、逆に相手の精神にダメージを負わせることもできるだろう。

 無論、素直に物理攻撃でカウンターをしても構わない。 相手は能力を使うために精神を集中しており、無防備だ。 そこを突いてやれば、いつもより大きなダメージが期待できるだろう。


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