人の住む所 -タウン-


2003/12/29


タウン

 人と人が交流する中継点として発展した町、それがタウンだ。
 意図したものというよりは結果の産物としてできたその町々には、法則性はない。 ただ、あふれんばかりのエネルギーが、それらの主張を代弁している。


成り立ち

 都市が、村が、自分たち以外の人間を見つけたとき、何かしらの形で交流を持つことになったのは単なる必然である。
そして、人の流れが生まれれば、その間には道が生まれる。 道ができれば、それに沿うようにして町が発展する。 そうして、タウンは生まれる。

 例えば、最初は寝泊りするのに向いている、単なるキャンプ地点だったりするかもしれない。 でも、人が多く立ち寄る所ならば、そこに宿を作ろうする者は必ず出てくる。 また、人が多く立ち寄る所ならば、そこでは取引、商売が発生する。 そこでの利益が見込めるからには人が集まり、人が集まれば器を作り出す。 器ができれば、より多くの人が集まるようになる。 こうして、タウンは発展してきた。

 ただし、その繁栄は安定したしたものではあり得ない。 近くの都市が戦争でも始めれば、途端に大打撃を受ける。 人が来なくなるし、狙われる危険性もある。 人の行き来が激しいだけ、伝染病の危険性も他の所より高い。

 流動的で、活発な活動をしていて、 繁栄と衰退と、多くの可能性に満ちた町。 それが、タウンなのだ。


文明

 人や物と共に技術も流れる。

 都市からもたらされた機械を便利と思えば、 それを解析してコピーしようと試みる。 都市から逃げてきた技術者が、そのままタウンに住みつくことも珍しくない。

 こうして、大概のタウンでは、ある程度の文明は存在していると思って間違いない。 通りには馬車と共に自動車も走っているし、 単純な電気製品や銃器もそこらのお店で手に入る。 サイバーパーツのメンテができる工場だって、決して珍しいものではない。

 もっとも、これらはどこにでも確実にあるというものではない。 タウンは地域差が激しい。 町の政策として科学技術に力を入れており、都市に匹敵するケースもあれば、 腕力、武力を重視し、文明などそっちのけで、ある種の異様な雰囲気を放つ町もある。

 ただ、タウン共通にして言えることはある。 それは、欲しいと思い、入手が可能であれば、必ずそこにあるということだ。 新しかろうが古かろうが、誰が造ろうが関係ない。便利なものは、自分たちのものなのだ。


生活環境

 混沌。タウンの環境を一言で表すならば、この言葉が出てくる。 そのときの指導者によって大きく様変わりするため、必ずしも内部が混沌としているとは限らないが、 その成り立ちから、住民には自由を求める強い意識があり、厳格な秩序形体は好まれない。

 商人や旅人が訪れては去って行き、 一旗上げようとコロニーから出てきた若者や、シティにいられなくなった犯罪者が住みついたりする。 かと思えば、疫病や戦争などの危険が迫れば、こぞって他の地域に移住してしまう。 次から次へと無計画に住居が増築されては、住む者が消えて放置されたり、取り壊されたりする。 気がついたら指導者が交代しており、昨日とは正反対のことを主張しているかもしれない。 治安も決して良くはなく、ともすれば自力救済原理がまかり通る。 人も、街並も、体制も、流動的で、何一つ定まる物がない。

 その代わり、野放図ではあるが、エネルギーに満ち溢れている。 したたかに、たくましく、今日を、明日を生きていく人々が、そこにはいる。


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