人の住む所 -コミュニティ-


2003/12/29


コミュニティ

 ミュータントたちが集団となり、生活のために形成した集落はコミュニティ、 共同体と呼ばれている。

 そこでは、同じ血に連なる者たちが集まり、富や労働を共有し、 まさに人類史から見て「昔ながらの生活」をしている。


成り立ち

 人は群れで暮らす生物である。 それは、変異体であるミュータントも変わらない。 集まり、群れをなし、集落を形作る。

 いや、そうではなく、そこにいた人の集団が変異し、 ミュータントになったのかもしれない。

 本当のところはわからない。 コミュニティが形成されたその時代、人は地下に篭もっていた。 ミュータントたち自身は、昔から同じように生活しているだけである。

 間違いないのは、今そこでミュータントたちは生き、 日々を過ごしているという事実のみだ。


文明

 ミュータントたちには何も残されなかった。

 技術も、それを持つ人間も、ほとんどが地下に持ち去られた。 地上は荒廃しきり、今日を生きることすらままならない状況であった。
 そして何より、ナイアールHT1のもたらす変化は、 歳を取っている者ほど耐え難かった。

 教育もされず、字も読めない。 本があっても、勉強する余裕などありはしない。 しかも、大した刻を必要とせずに、それらは朽ちていく。
 わずかに継承された知識や技術も、 全てを 1 から作らなくてはいけない世界では すぐに役に立たなくなって捨てられる。

 だから、全て最初からやり直した。 それがミュータントの持つ文明だ。

 摩擦で熱を発生させれば火が点けられる。 石を削れば刃になる。 繊維をより合わせれば糸や紐ができあがり、 そこから服や住居も作り出せた。

 生活に必要な物は全て自前で作れるようになった。 これ以上、何が必要だと言うのだろうか !


生活環境

 人間から野蛮で、無知であると見なされるミュータントたち。 同じく、その生活は危険に満ちて過酷であり、 いつも餓えに苦しんでいると思われている。
 それが一方的な思い込みであり、 根拠のない偏見に過ぎないことを知る人間は少ない。

 春、夏、秋、冬。 1年を通して、どの季節にも採れる植物があり、動物がいる。 野には獣が歩き、川には魚が泳ぎ、木には果実がなり、地には菜が生える。 自然のキャパシティを越えない限り、十分な量を食べられる。 彼らは、それを知っている。

 昔に比べて危険な動植物が多い。 だが、彼らも昔の人間より強靭だ。

 昔に比べて土地が荒れている。 しかし、そんなに人の数は多くない。場所を選べば問題ない。 そもそも、昔の貧弱な植物を持ち出すことが間違っている。

 未知の植物ばかりで、どこにどんな食べられる物があり、どれが毒なのかわからない。 それは、人間が無知なだけだ。

 環境に適応すること。 人はそれを、進化と呼ぶ。


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