人の住む所 -コロニー-


2003/12/29


コロニー

 田畑を耕し、太陽と大地と水の恵みを作物に変え、自然の中で生活の糧を生み出す者たちが住む村。
 それらは、コロニーと呼ばれた。

 コロニーという言葉には、開拓者の住む居住地や植民地といった意味がある。 新たな大地を切り開き、人の生きる土台を作る者たちの村、 あるいは、都市に従属し、生産拠点として活動する村には、相応しい名前であろう。


成り立ち

 耐用年数の短い安価なシェルター、 内乱によって多くの施設が破損したシェルター、 そんなシェルターでも、生き延びた人々はいた。

 薄暗い地下で、電気による灯りを頼りに自給自足を続けた彼らが地上に出て手に入れた物は、 荒れてはいるものの、それでもなお豊かな広大な大地、 天から降り注ぐ太陽の光、 そして生物の形をとって自分たちの命を脅かす危険、だった。

 ほどなくして、地下の農場は地上に移る。 旧来の物に加え、新たに発見した野菜や家畜を育てる。 そして、危険に対処するための戦う力を創り出す。

 時にはミュータントたちの助けを受けながら、 彼らは自分たちの力で生きていく術を編み出した。
 そこは、新たな出発地点とも言える。 ただ、過去に築き上げたものが失われつつあるが。


文明

 コロニーは文明を棄てたわけではない。 ただ、残された物がわずかだっただけだ。

 彼らにも楽をしたいという欲求はあるし、技術を発達させる意志もある。 村によって差があるがシェルター時代からの遺産がないわけではないし、幸いにして最近は都市部の技術も流れてきている。 家屋や農具、衣類など日常的な物品は原始的な物 ―わらぶきの木造建築や煉瓦造りの家、鍬に鋤、木綿や絹織物―に頼らざるを得ないが、 町との行き来に使う自動車も整備くらいは自前でできるし、 身を守るための武器類は案外、技術ともども昔から残っていたりする。 場合によっては、シェルターの中の発電機から電気を引っ張ってきているケースまであるのだ。

 ただし、それで村の文明化が進んでいくかというと、そうとも言いきれない。 彼らにとってより重要なのは今日の食い扶持を生産することであり、それは明日のことよりも優先されるし、 なにより、今は町や都市に言って農作物を売りさばけば、大概の必要な物は手に入る。入ってしまう。

 そして、村を変えるよりは、自身が町に行く方がはるかに楽という現実もある。 都市部が近い所では、そうして若い世代が文明を求めて流出するという問題も発生しているという。


生活環境

 コロニーの生活は、常に危険と隣り合わせだ。

 一歩、野に出れば、様々なクリーチャーが徘徊している。 中には危険な物も多々いる。 そして、それが村に来るかどうかは、明日の天気が晴れるかどうかということと大差ない。

 クリーチャーだけではない。 川の流域にあれば、洪水の危険性がつきまとう。 寒波や干ばつに見舞われれば、餓えてしまうかもしれない。

 それらに対処するため、村では様々な対策が取られている。 自警団は銃を傍らに農作業を行い、危機に備える。 周囲の状況には常に気を配り、本当に危険な物が来たらいつでも逃げられるようにしておく。 ときには、大枚はたいてモンスターハンターに依頼すことさえある。 もちろん、自然災害を畏れ、平穏を祈って神を祭ることも忘れない。

 そうして、彼らは生き延びてきたのだ。


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