ワールドサンプル

Hexa Forceでは、ワールドの詳細はGMが設定することを推奨している。
が、あまりにも何もないと、思うようにGMができないと思う方もいるかと思う。

そこで、ここでは、我々の一人が作ったワールド設定を、 サンプルとして紹介しようと思う。

なお、これはあくまでも一例であり、 決してオフィシャルな設定でないことをここに明言しておく。
ここにあるサンプルについては、そのまま使うなり、改造するなり、無視するなり、 各々が上手く活用して欲しい。

2009/10/17


内海「ペイントゥース」

東西、南北ともに約4〜500kmにおよぶ巨大な内海、ペイントゥース。

「苦痛をもたらす牙」という何とも不吉な名を持つこの海(実際は湖)は、 この地域一帯、そしてそこに住む様々な生物にとって、 多くの意味で非常に大きな役割を持っている。

まず地形的に、ペイントゥースを境にして北は亜寒帯に属する大森林、 南は乾燥した広大な荒野、 そしてペイントゥース周辺及び東部平原には、 草原や森林に覆われた温帯地域が存在している。

このように気候や植生が大きく異なる地域に住む生物たちは、 それぞれの環境に適応する為に、それぞれが異なった変異を遂げた。
これは人類が変異したミュータントも同様で、 地域ごとに全く異なる種族のミュータントたちが、 それぞれのコロニーを形成している。

この「住み分け」が自然に、必然的に行われたことには、 ペイントゥースが大きく関わっている。
それは単に気候の境目であるというだけでなく、 この巨大な湖がそれぞれの地域を隔絶し、 異なる種類の生物の遭遇と交流を妨げる障壁の役を為したということである。

いっぽう人間にとっては、ペイントゥースの水とそれが育む資源は、 生活に必要不可欠なものである。
そのため、必然的に危険な内地を避け、湖周辺にタウンやコロニーを形成している。
さらに人間たちは、 ペイントゥースを外敵に対する障壁として利用するのは勿論、 その逆に交通路としても利用している。
至る所で寸断され、危険なクリーチャーや野盗達が徘徊する陸路よりも、 圧倒的に速く、大量の物資を輸送でき、しかも比較的安全であるためだ。
勿論、絶対に安全ということは決してないが。

要約すると、ペイントゥースは周辺の地域とそこに住む生き物たちにとって、 境界であり、障壁であり、恵みであり、道であり、そして緩衝地帯であるのだ。


 「内海」の脅威

人間の生活には欠かす事の出来ない水をたたえ、 食物や土壌など、さまざまな恩恵を与えてくれるペイントゥースだが、 内海は時に、脅威をも我々にもたらしてくれる。

例えばクリーチャー。
魚類系や爬虫類系のクリーチャーの中には時として、 船を襲い、沈めてしまうほど獰猛かつ強力なものが存在する。
またそれ以外にも、未知の危険生物が潜んでいる可能性は否定できない。

そしてそれ以上に注意すべきは、皮肉な事に人間である。
盗賊の類は、何も陸上にばかりいるわけではない。
ペイントゥースが人や物が行き交う道であるが故に、それを狙う者もまた、 当然の如く現れる。
一般に「海賊」と呼ばれる集団がいくつか存在しており、 内海の各所で船や沿岸のコロニーを襲い、略奪行為を繰り返している。
また海賊達は、常にペイントゥースの制海権を狙っており、 海賊同士の抗争も常に行われている。
さらに、この抗争にはあるキャピタルが影で関与しているとの噂もささやかれている。

いずれにせよ、ペイントゥースの制海権を得るという事は、 同時にその周囲のシティやタウンに対して強力な支配力を持つということである。
これを得ようとする者、奪われまいとする者達の対立は、 いずれ大きな紛争の火種になり得ると人々は危惧している。

北部森林地帯「樹海」

ペイントゥースの北岸より内地いたる広大な丘陵地。
それを覆う、どこまでも広く、どこまでも深い森。
正確な名は無く、誰もがただ「樹海」と呼んでいる。

気候は亜寒帯で、冬は深い雪と凍てつく吹雪に閉ざされる。
そのため森の木々はそのほとんどが常緑樹で、 奥地つまり北へ行くほどに針葉樹林へと変わっていく。
かつての道路が今でもわずかに残っているが、それだけだ。
それ以外はまともな道も、正確な地図も無い。
しかも獰猛な肉食のクリーチャーや、 身体能力に優れたミュータントのテリトリーでもあるため、 普通の人間にはおよそ居住には向かない、危険極まりない地域であると言える。

「ウィスパー」の集落とペイントゥース沿岸のわずかな土地を除いて、 「樹海」に定住している人間はいないといわれているが、 そのため希少なクリーチャーやミュータントが棲息するとか、 或いは未だ発見されていない遺跡があるとか、様々な噂や憶測が生まれている。
それらにつられて、「樹海」に向かう人間たち(特にクリーチャーハンターやトレジャーハンターなど)は少なくないが、ひとたび奥地に入り込んだらよほどの実力者でない限り、無事に帰ることはできないといわれている。


 狼族

この地域に住むミュータントは数種族あるといわれているが、 最も生息範囲が広く、注意すべきは「狼族」である。

彼らは身体能力に優れ、非常に鋭敏な感覚を持ち、 人間には分け入ることの出来ないような深い森を自在に走る。
また常に群れで行動し、リーダーを中心とした彼らの指揮系統は、 よく統制が取れている。

高い能力と絶対的な地の利を持つ彼らに対して、 もっとも有効な対処は、まず彼らのテリトリーに侵入しない事である。
そもそも狼族は数あるミュータント種族のなかでもかなり排他的な部類に入り、 人間や他の種族のミュータント達に対して、決して友好的だとは言い難い。
彼らは、彼らの「群れ」が守るべきテリトリーに侵入する者を 基本的に排除するべく行動し、 そのため侵入者は、場合によっては突然に襲撃を受けることもあるのだ。

彼らのテリトリーは、彼ら自身にとって不可侵のものであることを、忘れてはならない。
だがそのかわり、彼らも自ら進んで自分達のテリトリーを出ようとはしないのが普通である。
地の利が生かせない環境下では、 いかな狼族とてその能力を充分に発揮できない事を彼らは良く知っているのである。


 ウィスパー

「樹海」内に集落を作って定住する者たち。

自らを、あの大破壊よりも遥か昔からこの大陸に生きてきた民族の末裔であると、 称している。
彼らは、彼らを取り巻く空や森や大地には数多の精霊が住み、 その精霊達の力のバランスがこの世界を形作っていると信じており、 それらを敬っている。

そのため彼らの生活の基本は「自然とともに生きる」であり、実に質素である。
森や川や湖で狩猟や採集を行い、また僅かな土地に作った畑で作物を育ててもいる。
だが、「樹海」は本来なら居住には向かない、危険な土地である。
狼族のような機敏で頑健な肉体を持たない彼らが、 それでもこの「樹海」で生活できるのには、何か特別な理由があると考えられている。

彼等は語る。
「耳を澄まして、精霊の声を聞きなさい。彼らの囁きを聞き、心を通わせる事ができれば、彼等は力を貸してくれる。」
と。

精霊の囁き声を聞く者たち。
彼らが「ささやく声ウィスパー」と呼ばれる所以である。
実際、彼らの中には他人の心を読んだり、言葉に頼らず相手に意思を伝えたり、 あるいは生物ではない「物」から情報を引き出す事ができる者もいるという。
彼らのその能力が実際どのように生かされているのかは不明だが、 少なくとも、彼等はその能力を神からの授かり物であると考えているようである。

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