シナリオ

Hexa Force のようなタイプの世界観の TRPGシステムは今までにも幾つか出ている。

しかし、ファンタジーや現代物ほど、 普遍的なイメージが浸透しているわけではない。

そのため、こういった世界観でのシナリオの作り方、 有用なシチュエーションや導入などがわからないというGMもいるかもしれない。

そこで、僭越ながら、Hexa Force で使えるシナリオ制作のヒントを、 幾つか挙げてみようと思う。

2009/10/17


ソース

果たしてこの世界には、どのようなシナリオのネタがあるのか。
以下に、いくつか例を挙げてみようと思う。

意外かもしれないが、実はファンタジーとさほど違わないシナリオが作れたりもする。

 組織・集団

組織をネタにするときは、 各組織の規模や影響力が重要になってくる。

Hexa Forceの世界によくある組織を大雑把に並べていってみよう。

まず都市のほとんどは、都市国家というべきものとなっている。
それぞれは一個の都市国家として独立しており、 固有の領土を持った国という枠組みは、ほとんどないのだ。
(ただし、付近の小都市、農村部を支配化に収め、 勢力の拡大を計るところは珍しくない)

同様に、町や村も、(一部の都市に支配された所は例外だが) 基本的には一つ一つが独立している。
だから、どんな小さな村でも上にあたる組織が存在していないのは普通だし、 その場合は、どんな問題が発生しても、 その村内で解決しなければならないのだ。
これらは、税金面では楽になるが、治安維持を外部に頼れないため、 大きな問題が発生したときには、大変なことになるだろう。
(そのときこそ、PCの出番かもしれない)

その他、辺境には未開の異種族(ミュータント)が集落を作り、 都会ではギャングが裏社会でうごめき、 田舎では山賊が暴れまわっていたりする。

こうやって見ていくと、大きな国家体系はないものの、 それ以外はさほどファンタジー物と変わらないことがわかる。
基本的に独立独歩という感覚が強く、 町と町の間は無法地帯になりがちだ。
都市部に近づくほど権力や財産の価値が上昇し、 それを巡っての争いも日常化する。
より豊かになるために戦争を起こし、 大規模な奪い合いも発生する。

それは同時に、そこで起こる事件もさほど変わらないということになる。

大都市や都市の中の、上層部では権力争いが起こり、 それに巻き込まれる人間も多いだろう。
下層の方では、犯罪組織が麻薬の密売や人身売買、 窃盗などを繰り返しているかもしれない。
それ以外にも、権力を利用して非人道的な人体実験を繰り返す科学者や研究所は、 割と珍しくなさそうだ。
また、都市自体が強い力を欲して、犯罪組織や研究施設と手を組むことや、 遺跡発掘に乗り出すこともあるだろう。
当然、そうやって自分よりも弱いはずの都市が力をつけ始めれば、 警戒して先に潰すことを考える所も出てくるはずだ。

一方、辺境の方ではもっと直接的な脅威が増える。
一歩でも外に出れば危険なクリーチャーや山賊などが闊歩し、 それが町や村を襲うこともあるだろう。
何か貴重な物(特産品でも出土品でも)があれば、都市に狙われるかもしれない。
遺跡発掘による一攫千金を狙う山師が、トラブルを呼び起こすかもしれない。
こういった問題が発生したときに頼る当てがなければ、 PC以外には解決できないことも多いだろう。

現代物と違って、法的な厳しい制限も束縛もない代わりに、 護ってくれる力もなく、自分の身は自分で護らなければならない。
そのことさえ念頭に置いておけば、シナリオのネタとして使うのに 困ることはなくなることと思う。


 遺跡

古代遺跡なんてネタもある。
各地に作られたシェルターには、 使われた物、使われなかった物、壊れた物、現在も稼動している物など様々な物がある。
地に埋もれた研究所や軍事基地などもあり、 中には古代のテクノロジーで満ちている。
運良く発掘できれば、一攫千金も夢ではない。

もちろん、 そこには古代のテクノロジーで作られた盗掘防止の罠、 セキュリティシステムがあるだろう。
しかし、この世に開けられない扉などないし、 何より諦めの悪い人間など掃いて捨てるほどいる。

それは、宝捜しかもしれないし、 秘密兵器の取り合いかもしれないし、 あるいは特別な何かを探しているのかもしれない。
そういった動機がある限り、遺跡発掘はネタになるのである。

宝探しは必ずしもプレイヤーが乗ってくれるとは限らないだけに、 使いにくいというイメージがあるかもしれないが、 金銭的に追い込む(という演出をする)とか、 人情を絡めるとか(彼、あるいは彼らを救うには遺跡にあるはずの物が必要である、等)、 あるいは純粋に命の危険を感じさせる (その遺跡は原子力発電所の名残であり、 伝説という形で危険性が語り継がれているにもかかわらず、 都市が発掘を試みようとする、等) ことにより、 シナリオのネタの一つとして使うことは、十分に可能だと思う。
昨今は少なくなったが、ダンジョン好きのGMだったら、 遺跡で一発、ダンジョン物をやるのもいいだろう。


 モンスター

この世界には、様々な危険な生物がいる。

それは大昔の空想上の生き物にそっくりだったり、 あるいはSFにでも出てきそうな、奇想天外な生物かもしれない。

いずれにせよ、特に危険な種類ともなると、 村どころか町の一つや二つ簡単に滅ぼせるだけの力を持っていたりする。
方法はいくらでもある。
砲弾をも弾く巨体で押しつぶすのかもしれないし、 群れをなして襲い掛かってくるのかもしれない。
あるいは、危険な病原菌を保有しているのかもしれないし、 はたまた、人間に寄生して宿主を死に至らしめながら繁殖するのかもしれない。
その脅威の方向性も、対処の仕方も様々なのだ。

また、それがただの野良クリーチャーなら倒せばそれで終わりだが、 背後に何者かの影あったら、そうも言ってられなくなる。
例えば、最近に造られた生物兵器だったら、 近くの遺跡から目を覚ました、大戦以前に造られた代物だったら。

たかがクリーチャーでも、立派にシナリオのネタになり得るのだ。


 魔王

この世界に魔王はいる。
人工物とは言え、誰も正体を知らなければ未知の魔王と変わらない。

彼らには、自分の体で物理的にできることはほとんどない。
その代わり、多くの配下を従え、またネットワークを経由した、 様々な魔法が使えるのだ。

管理下にある都市部では、彼の命令は絶対だ。
一言指令を出せば、たちまちのうちに死を恐れぬ兵隊となる。
機械の整備や修理、材料の収集、 支配の徹底なども効率良く行ってくれるだろう。

また、ひょっとしたら、どこかにまだ、 発射可能なように整備された核発射設備があるかもしれない。
衛星軌道上を軍事兵器が回っているかもしれない。
あるいは、月の資源輸送システムや、天候管理システム、 火山調査システムなどが、もし、存在するのであれば、 それらには多様な使い道があるだろう。

家畜化した人間は、手足のように扱える。
過去の人間が作った様々な装置は、彼らの手の中にある。
そして彼らには、人間に慈悲を与える必然性はない。

そう、今のこの世では、彼らは神にも悪魔にもなり得るのだ。
むろん、絶対者などではありえないが。

ギミック

Hexa Forceでは、PCの設定面に関する制約が少ない代わりに、 サポートもほとんどない。
これはキャラクターやシナリオを自由に創造したいときには利点となるが、 GMやプレイヤーの負担が増すというデメリットもある。

これを解消・軽減するために、参加者の同意の下に、 シナリオを楽に進めるためのギミックを用意しても構わない。

その一例を、下に挙げる。


 ハンターズギルド

これは、導入や情報収集を楽にするためのギミックである。

ある種のTRPGシステムの世界には、 PCを支援するための便利な組織が存在することがある。
それを通じて依頼の受注や情報の伝達を行い、 困ったことがあったらとりあえず組織を使っておけば何とかなるといった、 簡単な方法が用意されているのである。

この手の組織の Hexa Force に対する適応度は決して高くないし、 また、あると詰まらないと思うGMやPLもいる。
しかし、便利で簡単になることは間違いない。
そして、それは明確な利点でもある。

元々このシステムは、世界観の細部を具体的に語ることを、一切していない。
だったら、GMやPLが望むのならば、そういった組織があってもいいだろう、 そう思って、ここに存在の可能性だけ示唆する。

というわけで、もし望むのであれば、 Hexa Force の世界ではハンターという何でも屋じみた職業と、 その仕事を支援するハンターズギルドと いう組織があることにしても構わない。
それらは恐らく、PCに仕事の依頼や情報を与えることであろう。

ただし、その詳細をこちらが設定するつもりはない。
詳細までびっちり決定するも適当に運用するも、 表に出た組織にするも影に隠れた怪しい組織にするも、 自由にやって欲しい。

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