来るべき未来の姿

未来の姿は不定である。
意志ある者たちの思惑は様々である。
今そこにある環境は千差万別である。

混沌に満ちた現状で、 この先、世界がどうなるかを断定的に語ることは誰にもできない。
しかし、有り得る可能性の高いと思われる、いくつかの未来の姿を提示することは可能である。

それは、机上の空論であり、全くの無意味かもしれない。
それでも、これを読んだ者にとって何らかの指針となることを信じて、 ここに記そうと思う。
2009/10/17


原始への回帰

人が進化し、現在の過酷な環境に適応したときの世界のあり方。

人の武器であり、鎧である文明の力。
それは、生物としての人類を脆弱にする要因でもあった。

文明の棄却を代償に、一個の生物として十分な生きる力を手に入れた新人類たちは、 環境に適応した新しい姿で生き続ける事だろう。
動物の仲間に戻って。

それこそが、最も自然でバランスのとれた姿なのだから。

機械化

人の持つ最大の武器、知恵を使い、かつての栄光を取り戻さんとしたときの世界のあり方。

弱いところがあるのなら、強くすればいい。
必要な力があるのなら、作り出せばいい。
環境が自分たちの生存にそぐわないのなら、作り変えればいい。
そのために、文明は発達したのだから。

かつての力を取り戻し、それ以上に物に発展させた人類は、 全てを自分の都合の良いように改造し始める。
自然も、動物も、生物的な進化も必要ない。
全ては、我々が管理するのだ。

生存競争

相変わらず人は様々である。
中には発展した群もあるだろうし、衰退した群もあるだろう。
そしてそれは、変異体も人工知性体も変わらない。

ローカルな視点で見れば、 いくつもの集団が滅び、消えていっている。
しかし、全体としては消滅など許さない。

互いの生存をかけて、時には争い時には協力し、 ギリギリのバランスで生き続けている。

そう、種全体が完全に負けたりしない限り、誰かが生き続けるのだ。
そのために、今日も戦う。己の生をかけて。

精神世界

高次の意識活動。
それこそが、人間の真のアイデンティティである。

人類はそれによって知恵を生み、機械文明を発達させ、栄えるための力としてきた。
だが、それももう、終わりに近づいた。
人類は新たなステップを踏むべきである。
もう、その準備はできたのだ。

さあ、不自由な物質の戒めから解き放たれ、新たな世界に旅立とう。
そこには、我々の望んだ真の楽園が存在するはずだ。

完全なる秩序

人間の肉体は脆弱だ。
人間の精神は脆弱だ。

頑丈な肉体。
揺るがない精神。
間違いを犯さない理性。
それらを備えた、新たな存在が地上に生まれた。

彼らこそが、人類の生んだ新しい神だ。
人々よ、彼らに従うのだ。
そうすれば、争いのない、理想的な社会が築かれる。

機械神に栄光あれ。

破滅への序曲

頂点にいなければ意味がない。
その位置こそが、霊長の長たる人類に相応しい唯一の座であるはずだ。
そうでなければならない。

偏執的な観念は、無軌道な破壊へとつながる。
現状を正しく認識できずに暴走した理性は、諸共に滅びるという道を選択した。
300年前の悲劇が再び訪れ、地上は炎に包まれる。

だがまあ、そう悲観したものでもないさ。
それでも人類、そしてその他の幾ばくかの生命は生き残るものだ。
そして、完膚なきまでの破壊の後には、全くの新しい物が生まれるはずだ。

過去のしがらみを一切もたない、新しい世界が。

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