戦闘

 力のある者たちの戦闘は過激です。 戦場を縦横無尽に駆け巡り、 距離や障害物など何もないかのごとく、 激しい攻防を繰り広げます。 その様たるや、とても常人の割り込めるものではありません。
2004/05/23


戦闘の流れ

 戦闘はラウンドという区切りで行われます。 1ラウンドの中には5つのフェイズが含まれており、 一連の流れが終了したら次ラウンドに移行します。

オープンフェイズ

イニシアチブフェイズ

メインフェイズ

チェックフェイズ

ラウンドエンド

    オープンフェイズ

     〔リフレクス〕の値だけ、“チャージランク”を増やします。 ただし、“チャージランク”は最大で〔キャパシティ〕と同じ値にしかなりません。
     戦闘開始時の“チャージランク”は0なので、最初のオープンフェイズで、 〔リフレクス〕と同じ値になります。

    イニシアチブフェイズ

     戦闘に参加していキャラクターの中で、次に誰が行動するかを決定します。
     未行動状態で、かつ最も〔リフレクス〕の高いキャラクターが選ばれます。
     〔リフレクス〕が同値であるキャラクターが複数いる場合は、 GMから見て時計回りの順番で処理して下さい。 もし、GMが望むのであれば、同時行動(「同時行動」参照)として扱っても構いません。

    メインフェイズ

     イニシアチブフェイズにおいて決定されたキャラクターが、何らかの能動行動を起こします。 行動を行ったキャラクターは、以後、行動済み状態となり、 そのラウンド中は、メインフェイズが回ってこなくなります。

    チェックフェイズ

     まだ未行動のキャラクターいるかどうかを調べます。 戦闘に参加している全員が行動済み、あるいは待機状態となったら、ラウンドエンドに移行します。

    ラウンドエンド

     ラウンドは終了し、次ラウンドのオープンフェイズに移行します。


戦闘中の判定

 判定を行うときは、次の手順に従って処理をします。

判定に使うダイスの個数の決定

パワーランクの決定

ダイスロール

 このとき、決定した“パワーランク”だけ、 “チャージランク”を減少させねばなりません。 もちろん、その時点での“チャージランク”より大きな “パワーランク”にすることは基本的にできません。
 戦闘中の判定における“セーフティランク”は、 原則として1になります。


メインフェイズの流れ

メインフェイズは、4つのステップで構成されています。 一連の流れが終了すると、チェックフェイズに移行します。

能動行動ステップ

割り込みステップ

受動行動ステップ

ダメージ判定ステップ

    能動行動ステップ

     イニシアチブフェイズにおいて決定されたキャラクターは、 メインフェイズで何らかの能動行動をとることができます。
     具体的には、以下のような行動が可能です。 行動を行ったキャラクターは、行動済み状態となります。

      ・攻撃
       闘技を使って攻撃を仕掛けます。
       “パワーランク”を決めて、ダイスロールを行ってください。 “パワーランク”が1〜3なら『牽制』、4〜6なら『通常』、 7〜9なら『必殺』、10〜12『奥義』というように、 “パワーランク”に応じて、使用する闘技が決定されます。 闘技に組み込まれている特技を使用するか否かは、このときに決めます。
       自動失敗にならなければ、攻撃は成功します。 他のキャラが妨害を試みるのなら割り込みステップに、 その後、攻撃対象が防御行動を望むのなら受動行動ステップに、 誰も妨害しなければダメージ判定ステップに移行します。

      ・逃亡
       戦闘区域から離脱します。 任意の値の“チャージランク”を減らして、同数のダイスを振ってください。 判定が成功すれば、逃げることができます。
       ただし、戦闘に参加している他のキャラクターたちは、 受動行動としてその逃亡を妨害することができます。 逃亡者の達成値を目標値として、 判定をして下さい。 目標値以上の達成値が出たら、逃亡は失敗します。
       このとき、複数の人間で協調して妨害を行うことも可能です。 その場合は、妨害側の達成値を合計して、逃亡者の達成値と比較します。
       これとは別に、インターセプトによる妨害も可能です。

      ・待機
       特に積極的な行動をせず、機会をうかがいます。
       これは能動行動の例外で、行動済み状態とはなりませんが、 その代わりに待機状態になります。
       待機状態となったら、以後、能動行動は行えませんが、 行動済み状態と違って割り込みは可能です。
      ・その他
       それ以外の行動を取りたい場合は、その旨をGMに申告して下さい。 GMの許可がでれば、それを能動行動として行うことができます。
       なお、それがどのような行動であっても、 判定を行えば、決定した“パワーランク”に等しいだけ“チャージランク”を消費します。 それ以外のことについては、通常の判定と同様に処理して下さい。


    受動行動ステップ

     能動行動の対象となったキャラクターは、 それを防ぐために受動行動を行うことができます。
     これは、行動済み状態でも問題なく行え、 他の状態から行動済み状態になることもありません。

      ・防御・回避
       攻撃を防ぐにあたって、最も一般的な防御手段です。 動くことによって攻撃をかわしたり、あるいは武器や腕、防具で攻撃を受け止めて、 ダメージの軽減をはかります。
       どの程度の力を込めて防御するかで、“パワーランク”を決めてダイスを振ってください。 達成値が攻撃側以上の値になれば、攻撃の回避に成功します。 この場合、相手の攻撃を無効化でき、一切の被害を受けません。
       達成値が攻撃側を下回った場合は、防御したことになります。 (“パワーランク”+1)と〔ガード〕の乗算値だけ、ダメージを減少することができます。 詳しくは、「ダメージ判定ステップ」の項を参照してください。
       もちろん、自動失敗になったら、達成値も“パワーランク”も0です。 また、防御・回避においては、“セーフティランク”が通常よりも1高く、 2が基準値となります。

      ・カウンター
       自分が攻撃の対象となったとき、 相手の動きに合わせて攻撃することにより、 カウンターを決めることができます。
       上手く成功すれば、相手の攻撃を無効化した上に、 自分の攻撃を当てることができます。 しかも、相手の勢いを利用しているため、 通常よりも有効な攻撃を行うことができます。
       ただし、失敗したときには、通常よりも余計なダメージを負うことになってしまいます。 カウンターは、ハイリスク・ハイリターンな防御法と言えるでしょう。
       カウンターを行うときは、攻撃時と同じように、“パワーランク”を決めてダイスを振ってください。 達成値が攻撃側以上の値になれば、カウンターは成功です。 攻撃側の攻撃は完全に無効化された上で、 自分の“パワーランク”と攻撃側の“パワーランク”を合計した攻撃が、 攻撃側に適用されることになります。 そのときの達成値は、カウンター時のものです。
       この攻撃に対して、さらに受動行動を行うことも、割り込み行動を行うこともできます。 (つまり、カウンターに対してカウンターや、 カウンターをインターセプトで潰すといった真似も可能です)
       カウンターの達成値が攻撃側を下回った場合は、「ダメージ適用」に移行します。 このとき、攻撃側の“パワーランク”に、カウンターの“パワーランク”が足されることになります。 つまり、通常より余計にダメージを受けてしまうというわけです。 このとき、自動失敗であっても、“パワーランク”は最初に指定した値を用います。


    割り込みステップ

     能動行動が行われたとき、それを妨害したいと望むキャラクターがいるのなら、 割り込みステップに移行します。 これは、未行動状態、あるいは待機状態のキャラクターしか行えず、 割り込み行動終了後は行動済み状態となります。
     割り込み行動を望むキャラクターが複数いる場合、 〔リフレクス〕の高いキャラクターから処理します。

      ・インターセプト
       自分以外のキャラが攻撃対象となっているとき、 その攻撃を横から割り込んで妨害することができます。
       インターセプトは、攻撃と同じように判定を行います。 攻撃との違いは、妨害対象の攻撃判定の達成値が、 インターセプトの目標値となることです。
       インターセプトの達成値が目標値以上になれば、 対象の攻撃を無効化した上に、 自分の攻撃を命中させることができます。 もちろん、インターセプトに対して、通常の受動行動は可能です。
       インターセプトの達成値が目標値を下回ったなら、 この行動は何の効果も及ぼしません。

      ・カバーリング
       自分以外のキャラが攻撃対象となっているとき、 間に割り込んで、代わりに攻撃を受けることができます。
       カバーリングも、他の判定と同様に“パワーランク”を決め、 ダイスロールを行います。 自動失敗でなければ、カバーリングは成功します。 “パワーランク”×〔ガード〕の値だけダメージ減少した上で、 残ったダメージ値がカバーリングを行った者に適用されます。 (ダメージ判定ステップ」参照)
       また、カバーリングにおいては“セーフティランク”が通常よりも1高く、 2が基準値となります。


    ダメージ判定ステップ

     攻撃が命中したら、次の式に従って、ダメージを算出します。

      ・防御・回避自動失敗時

      ダメージ = 攻撃力 × 攻撃側の“パワーランク” - 〔ガード〕

      ・防御成功時

      ダメージ = 攻撃力 × 攻撃側の“パワーランク” - 〔ガード〕 × (防御側の“パワーランク” + 1)

     このとき、攻撃力には、使用した闘技の攻撃力を使います。
     算出されたダメージの値を、 防御側の〔スタミナ〕から引いてください。 〔スタミナ〕が0になったら、戦闘不能となり、気絶します。

      ・負傷
       一度の攻撃で受けたダメージ量によって、負傷することがあります。 負傷は度合いに応じて、微傷、軽傷、中傷、重傷、致命傷、死亡の6段階に分かれています。 規定値以上のダメージを一度の攻撃で受けだ場合、 表を参照に、ダメージに応じた負傷の欄にチェックをして下さい。

      ・負傷の効果
       どんな負傷をしても、その戦闘中には何の影響もでません。 負傷による効果は、戦闘終了後から発生します。 具体的には、通常なら休めば〔スタミナ〕は全快しますが、 負傷していると、〔スタミナ〕の最大値が、本来の値より低くなってしまうのです。
      詳細は、表を参照してください。

      ダメージと負傷
      負傷ランク負傷度ダメージ規定値スタミナ最大値
      1微傷20%以上90%
      2軽傷30%以上70%
      3中傷50%以上50%
      4重傷80%以上30%
      5致命傷120%以上10%
      6死亡200%以上0%

    オプション

      集団攻撃

       戦闘において、厳しい制限はつきますが、1回の行動で集団に対して攻撃を行うことも可能です。
       対象一人一人に対して攻撃に使うパワーランクを決定し、 その合計値だけ“チャージランク”が減少することになります。 このときの達成値、ダメージは、全て個別に行われます。
       この攻撃に対するカウンターは、一連の集団攻撃が終了した後で、改めて個別に処理する形になります。

      加減攻撃・防御・回避

       攻撃や防御、回避を行うとき、力を加減し、自動失敗の確率を減らすことができます。
      ダイスロール前に宣言することにより、その判定における“セーフティランク”が+1されます。 その代わり、“パワーランク”が半分(端数切り捨て)になります。 これは消費“チャージランク”やダイスを振る個数、「達成値」には影響しません。 ダメージ計算時の“パワーランク”の効果が半分になるだけです。
      また、攻撃、防御、回避以外の行動では、加減ができません。

      有利・不利

       戦闘中、周りの状況によって、通常より有利である場合、不利である場合がありえます。 例えば、水中や崖などの難所では、思うようには動けないことでしょう。 逆に、自分の慣れ親しんだ場所ならば、他の場所に比べて自由に動けるかもしれません。
       これらのような状況を想定し、有利な状況ならば“クリティカルランク”が$+1$、 不利な状況ならば“セーフティランク”が$-1$されるという修正を入れます。
       有利であるか、不利であるかの判断は、特技などで明記されていない限りは、 GMの判断となります。

      距離

       このシステムにおいて、戦闘中の距離の概念はありません。
       キャラクターたちは戦闘の舞台を縦横無尽に駆け巡り、 戦闘を繰り広げます。 格闘家は瞬時にして間合いを詰め、必殺の拳を繰り出します。 ガンマンは跳弾で、物陰に隠れた敵を狙い撃ちします。 超能力者なら、障害物ごと吹き飛ばすかもしれません。
       そんな戦いにおいて、数値上の距離など無意味です。 届かないのなら、届く所まで移動するだけなのです!

      区域外攻撃

       戦闘中は距離の概念がないと上に書きましたが、例外もあります。
       例えば、長距離砲や巡航ミサイルなどによって戦闘区域外から攻撃させることも、 ないとは言いきれません。
       そんなときばかりは、カウンターは上手く行きません。 インターセプトはできるかもしれませんが、相手側にダメージが行くことはないでしょう。
       では、そんなときはどうすればいいか。 GMはあらかじめ、戦闘区域間の距離を設定しておいて下さい。 そして、各人は自分の能動行動として移動を行って下さい。 通常通りに判定を行い、パワーランクを記録しておきます。 その合計値がGMの指定した距離に達すれば、 目標地点に到達することができます。 このとき、届くのならば同時に攻撃をしてしまっても構いません。 (つまり、一回の判定で攻撃と移動を同じに行う)
       具体的にどの程度の距離が離れていれば戦闘区域外として処理するのかは、 原則としてGM判断とします。 1パワーランクが何[m]に相当するかなどということは、 1ラウンドの時間すら決まっていないこのシステムにおいては、 厳密に決められる性質のものではないのです!
       ただ目安として、移動と攻撃が同時に行えることまで考慮に入れれば、 数十〜百[m]くらいの距離では、まるで影響しないと思って良いでしょう。

      不意打ち

       もし知覚できていない相手から攻撃を受けたら、 「防御・回避」以外の受動行動を取ることができません。
       また、「不利」になるため、 “セーフティランク”が-1された上で判定を行わなければなりません。

      負傷からの回復

       負傷は、放っておいても治ります。
       しかし、治療をすればもっと早く治ります。 具体的には、治療行為に成功することにより、 怪我の回復のスピードが一段階だけ早くなるのです。 治療を行うには、負傷ランクと同じだけのパワーランクが必要です。
       言うまでもないと思いますが、死亡だけは例外です。 これだけは、(原則として)どんな手段を以ってしても治りません。

      負傷の治癒
       負傷度治癒に要する時間
      1微傷1時間
      2軽傷1日
      3中傷1週間
      4重傷1ヶ月
      5致命傷1年
      6死亡 1生  治りません。


戦闘の例

〜桐生柾葵の場合〜  そのとき俺は、活気がなく辛気臭い都市の通りを歩いていた。 行方不明事件の黒幕を追っていたら、 こんな所に来る羽目になっちまった。 俺はどうも、この閉鎖的な都市が嫌いだ。
 …敵意を感じる。 恐らく、俺が目障りになった連中の使いだろう。 足を止めると、同時に後ろを歩いていたゲンヤも立ち止まった。 どうやらこのおっさんも 敵の存在に気付いたようだな。

 「数は3人……、ワシが1人にお主が3人で丁度割り切れるな」
 「…どういう計算だ、それは?」

 くだらないやり取りを交わしていると、 こちらが気付いたことに向こうも気づいたのか、3人の男が姿を現した。 拳銃を構える姿は、様になっている。 どうやら、ただのチンピラではないらしい。 前に2人、後ろに1人。 俺たちを包囲したつもりなのだろうか。

 「この坊さんに何か用か? 俺は関係ないから、通してくれないかな」
 「おいおい、酷い言いぐさだな。ワシは人から銃を向けられるような心当たりは、欠片もないぞ」
 「……」

 俺たちの軽口にも何の反応も示さず、男たちは動き出した。 やれやれ、面倒くさいな。とっとと片付けるとするか。

    リフレクス値と行動順
    マサキ6
    ゲンヤ4
    刺客13
    刺客23
    刺客33

 戦闘開始後、最初のラウンド。 ラウンド頭のオープンフェイズで、リフレクスだけチャージランクが増える。 初期値は 0 なので、これで全員リフレクスと同じ値になるはずだ。

 この中で一番速いのは俺だから、最初は俺のメインフェイズだ。 とりあえずパワーランク 2 の掌打で、刺客 1 に牽制攻撃を仕掛ける。 ダイスを2つ振り、出た目は[2・3]で達成値は 5 。 これで残りチャージランクは 4 となった。
 これに対し、刺客1はチャージランクを全て消費し、 パワーランク 3 で防御を試みた。 出目は[1・1・5]。 合計値は7なのだが、[1]の出目の数が[6]の出目より$2$個多く、 セーフティランク以上になってしまっている。 そのため、防御は自動失敗だ。 地面の凸凹に足を取られた刺客1は俺の攻撃をまともに食らい、 無様に転倒してしまった。

 このとき、俺の攻撃力が 3 でパワーランクが 2 なので、 3 × 2 から刺客 1 のガード値 3 を引いて、 差し引き 3 ダメージを与えたわけだ。

 次のメインフェイズは破戒僧ゲンヤだが、 奴は今回は防御に徹するらしく、待機を宣言して終了した。
 その次の刺客 1 はすでにチャージランクが 0 なので何の行動もできず、 終了した。

 そして次の刺客 2 は、銃を俺に向けて発砲してきた。 残ったチャージランクを全て使い、パワーランク 3 の攻撃だ。 出目は[2・2・4]で達成値は 8 。
 防御してもいいのだが、この程度の攻撃なら恐れるに足らず。 そう思った俺は、弾丸が発射される瞬間に懐に潜り込んで、 一気に決めてしまうことにした。 パワーランク4で靠を使い、カウンターを行う。 結果は[2・3・5・6]の 16 で、敵の達成値を見事上回った。

 攻撃に気を取られた虚をつかれ、腹に俺の拳がめり込んだ刺客2。 2人分のパワーランクを合計し、攻撃力 3 × 7 - ガード 3 = 18 点の ダメージが与えられたことになる。

 最後に残ったのは刺客 3。 こいつも、俺に向かって銃を撃ってきた。 出目は[2・4・5]で 11。 無理に動いたため、俺のチャージランクは0でもう何もできない。 仕方がない、大人しく食らってやろう。 …と思ったら、ゲンヤが横から割り込んできた。ちっ、余計なことを。

 ゲンヤはパワーランク4でインターセプトを試みる。 出目は[1・2・2・6]で 11。 同値は防御側有利の法則で、辛くも成功する。
 これに対し、刺客3はチャージランクが残っていないので、 全く抵抗できない。 横から放たれたゲンヤの気弾が刺客3の横腹に直撃し、 攻撃力 4 × パワーランク 4 - ガード 3 = 13 ダメージが刺客3に与えられた。

 この時点で全員の行動が終了したため、 ラウンドエンドに移行し、このラウンドは終了となる。 さて、敵は大分弱っていることだし、次のラウンドで終わりにしてやるか。


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