ミュータント〔Mutant〕

基本攻撃属性:リアル

2004/02/11


スタイル解説

 人ならぬ身を持つ、人から生まれた者。

 醜い、気持ち悪い、人間じゃない、化け物だ。 人の社会に入ると、決まってそんな扱いを受ける。
 しかし、その言葉には羨望と嫉妬が混じっている。 人ではない、その言葉は、人より優れていることを意味する。 過酷な環境の中で手に入れた、生きるための力だ。

 見捨てられた地にある、何が彼らを変えたのか。 力強い肉体、身軽な体、鋭敏な感覚、たくましい生命力。
 そう、彼らは人ではない。 なぜなら、人から進化したのだから。


特殊能力:突然変異〔Mutation〕

 人の作った物により世界が壊れかけたとき、 わずかに生き残った人々は、シェルターの中に隠れ住んだ。
 しかし、全ての者が入れたわけではない。 シェルターの許容量にも限界がある。 戸を開ければ、外から危険な放射能やウィルスが入ってくる。 嫌われ者は、つまはじきにされる。 金持ちは、独占する。

 様々な理由で、結構な人数が外の世界に取り残された。 そして、ほとんどの者は死んだ。 とぼしい食料。厳しい気候。ダーティウェポンの残り香。 生きる材料は少なかったが、死ぬ理由ならあふれんばかりにあった。

 それでも、人は生き延びた。 いや、もはや人ではないかもしれない。 外の環境に適応した者たちは、 それまでの人類とは比較にならないくらい強靭な肉体と精神、 それに生きる上で有効な働きをする新たな器官を、手に入れたのだ。


特技

◎異形の肉体[Monstrous Body]

  • 種別:常動
  • 代償:特になし
 変異体は様々な形の進化を遂げたため、 その能力や外見は、種族や個人によって大いに異なる。
 しかし、共通点もある。 それは、厳しい環境を生き抜くために手に入れた、 強靭な生命力である。 中には貧弱な外見をしている連中もいるが、 騙されてはいけない。 真に弱ければ、今、ここにいないのだから。

 変異体が、人よりもはるかに強い、 生命力の持ち主であることを示す特技である。 これを持っていると、〔スタミナ〕の計算式が1.5倍となる。 また、病気や毒に対して抵抗判定を行う場合、パワーランクを1.5倍できる。


○捨身[Kamikaze]

  • 種別:武装(『通常』以上)
  • 代償:なし
 己の肉体を信じ、肉を切らせて骨を断つ、 まさに捨て身の攻撃を行う技である。

 この技による攻撃に対してカウンターを決めても、 この攻撃が無効化されることはなく、 カウンターのパワーランクに、 攻撃のパワーランクが加算されることもない。 ただ、両方の攻撃が、そのまま適用されるのである。
 もちろん、カウンターの達成値が攻撃側を下回っていれば、 カウンター自体が失敗する。

 また、カウンターとしてこの技を使用すると、 達成値がどうであれ、 両者の攻撃がそのまま適用されることになる。
 ただし、この技によるカウンターに対し、 さらに普通の受動行動を行うことは可能である。


○生体光学兵器[Bionic Optical Weapon]

  • 種別:武装(無制限)
  • 代償:なし
 身体の一部に、殺傷力を持った光線を発する謎の器官が存在する。 なぜ、このような器官が造られたのか、 どうのようにして働いているのか、 非常に謎の多い器官であり、 研究の対象として狙われることもあるという。

 体からレーザー光を発し、攻撃を行うことができる。 この特技によってなされた攻撃は、 属性が《オーラ》になる。


○怪音波[Blast Voice]

  • 種別:武装(無制限)
  • 代償:なし
 声帯(あるいは類似する他の器官)から、 物理的破壊力を得るまでに到った音を 発することができる。

 高周波、あるいは大振幅の音波を発し、 攻撃を行うことができる。 この技によってなされた攻撃は、 属性が《フォース》になる。


○鬼の腕[Ogre Power]

  • 種別:武装(無制限)
  • 代償:スタミナ(増加分)
 信じ難いレベルの、強い腕力を発揮することができる。 その現れ方は様々で、 元から巨大な体躯を誇る者もいれば、 一時的に腕が膨れ上がり、腕力が増すような者もいる。
 この技を見たものは、素手で鉄板を引き裂くパワーを、 目の当たりにするだろう。

 この技が付与された攻撃は、 属性が《リアル》になり、 攻撃力が1.5倍となる。
 ただし、素手による攻撃でしか、 その威力は発揮できない。 不器用なため、 武器を上手く使いこなせなくなってしまうのである。

 また、この能力を修得していると、 腕力を使用するダイスロールにて、 〔体力〕を1.5倍として判定を行うこともできる。 これは、戦闘には影響しない。


○獣人化[Berserk]

  • 種別:宣言
  • 代償:加減攻撃不可
 卓越した能力と引き換えに、 一部の変異体が得てしまったもの。
 普段は何ともないのだが、 極度の興奮状態や危機的状況に陥ると、 心の中の獣性が目覚め、暴れ始める。 その戦闘力は恐ろしく、 まさに草一本も残らないありさまとなる。
 危機的状況を乗り切り、 生き残るためには有効だったこの能力も、 今では逆に人から恐れられる最大の要因となっており、 滅亡への道程に拍車をかけているという。

 宣言した瞬間にスタミナが全快し、バーサーク状態に入る。 バーサーク状態に入ると、 〔リフレクス〕が1.5倍になり、 〔キャパシティ〕が無限大になり、 自動失敗が起こらなくなる。
 その代わり、 受動行動に防御という選択肢がなくなって カウンターしかできなくなる上に、 攻撃、あるいはカウンターを試みるときは、 常に限界までダイスを振らなければならなくなり、加減攻撃もできない。
 また、敵意を向ける者が全滅するか、スタミナが切れるまで、 戦い続けなければならない。


○獣の挙動[Beast Attribute]

  • 種別:常動
  • 代償:なし
 人が失ってしまった、獣の持つ反射神経と瞬発力、 この特技を修得している者は、それを持っている。
 しかし、その反面、精緻な動き、 正確な動作といったものは苦手となる傾向にある。 なぜなら、そんなものは必要ないのだから。
 生まれつき持つ優れた能力。 それが、技術の発達を滞らせるのである。

戦闘能力は、 〔リフレクス〕が1.5倍になるが、 代わりにその増加分だけ〔キャパシティ〕が低下してしまう。
 また、通常能力は 〔運動〕が1.5倍になり、 〔技量〕が2/3になるが、 これは戦闘能力には影響しない。


○適応進化[Adaptation]

  • 種別:常動
  • 代償:なし
 変異体は地上にだけ居るわけではない。 その進化の過程で、様々な場所へと広がっていった。

 この特技は、修得するときに分類を一つ選ぶこと。 選択した分類に応じて、それが指し示す地形、環境と完全に一致する状況下ならば、 一切のペナルティを受けないどころか、 セーフティランクに +1 のボーナスを受けた上で行動できるようになる。

 完全に一致しなくても近い環境(GM判断)であれば、 ペナルティを無視して行動できる。 (例えば、「水中」に適応していれば、 下半身が水に浸った状態でも何とか普通に動ける)

 反面、あまりにかけ離れた、 正反対の性質を持つ環境にいるときは、 セーフティランクに -1 のペナルティを受けることも有り得る。
 詳細はGM判断とする。
 天狗の翼[Tengu's Wing]:空中
 背中から羽毛に覆われた一対の翼を生やしており、 それをはばたかせることによって空を飛ぶことができる。

 安曇のエラ[Azumi's Gill]:水中
 首筋あたりにエラがあり、肺呼吸とエラ呼吸を自由に切り替えられる他、 体内の浮き袋や手足の水かきにより、水中を自在に動き回ることができる。

 その他[Others]:様々
 その他、GMの許可の下、好きな物を設定して良い。

○夜の王[Lord of Night]

  • 種別:常動
  • 代償:弱点
 身体が半ば群体のような形で構成されている。

 各要素を自由自在に操るような真似はできないが、 一時的に構造を崩すことにより、 通常は通れないような隙間でも、 頭が通る程度の幅があれば通りぬけることができる。

 また、 重要器官に欠損が生じるとすぐに他のパーツから補填されるため、 物理的な攻撃は効果が出にくい。
 その代わり、 気の類で攻撃されると波が伝わるように 各要素に連鎖的にダメージを受け、 致命的になりやすい。

 自身が受けた 《リアル》ダメージは半分になり、 《オーラ》ダメージは倍になる。


○吸血鬼[Energy Drain]

  • 種別:武装(無制限)
  • 代償:なし
 血などを通して、 食事とは違う形で、 獲物の持つエネルギーを摂取できる能力である。 その手段は様々で、口から生やした牙で血を吸う者、 筋肉で覆われた管を突き刺して体液を吸い上げる者、 などがいる。
 このとき、摂取した液体が問題なのではなく、 あくまでもそれを通してエネルギーを吸収するということなので、 保存血液などでは役に立たない。

 この武装を使って攻撃が命中し、ダメージが1点でも通れば、 パワーランクの差分値だけチャージランクが減少する。


○再生[Re-Generate]

  • 種別:常動
  • 代償:なし
 人間が持つ、「再生」能力のある器官は、肝臓だけである。 しかし、世の中には、全身に再生能力のある生物すら存在する。 これは、そんな能力を獲得した変異体を表す 特技である。

 この特技を修得していると、 負傷が自動的、かつ高速に治癒していく。 戦闘中は1ラウンドにつき1点のスタミナを回復することができ(面倒ならしなくても良い)、 戦闘終了のタイミングで負傷ランクを1段階下げることができる。 また、負傷回復のスピードが、通常よりも1段階早い。(P.\pageref{Recuperation}参照)


○第六感[Sixth Sense]

  • 種別:常動
  • 代償:なし
 巨大な群れをなし、同族だけで暮らすようになった人間にとって、 外敵などによる危険は縁遠いものとなった。
 それどころか、社会の中において、 鋭敏な勘など余計なものでしかない。
 しかし、変異体の社会においては事情が異なる。 常日頃から、身の回りに存在する危険の数々。 そんな生活をする変異体が、 野生の頃に持っていた第六感とでもいうべき 知覚能力を取り戻したことは、不思議でもなんでもないだろう。

 この特技を持っていると、 周囲に危険が迫ってきたときに、 それに気づくことができる。 これは能動的には行えないし、 具体的なこともわからない。 ただ、危険が迫っている、 という事実のみが判るのである。

 また、気付いていない敵から不意打ちを受けても、 何らペナルティを受けずに普通に防御・回避が行える。


○保護色[Stealth]

  • 種別:宣言
  • 代償:なし
 危険から逃れるために 戦闘力を上げるのでなく、 隠れる能力を身につけた変異体もいる。
 その能力が、保護色である。

 この能力を持った者は、 カメレオンのように体色を周囲の色に合わせることにより、 姿を隠すことができる。 つまり、物陰が存在しなくても、隠密を試みることができるのだ。
 ただし、動きながらこの能力を使うことはできないので、注意が必要である。

 この特技による隠密に対する知覚は「不利」になる。


○狩りの始まり[Hunting Arts]

  • 種別:武装(無制限)
  • 代償:なし
 獲物を狩るとき、何も正面から力ずくで飛び掛かるばかりが能ではない。 罠にはめるなどして、相手の戦闘力を削げば、狩りはより楽になる。

 安心させれば、戦闘意欲は失われる。 注意をそらせば、隙が生まれる。 動きを封じれば、捉まえるのはたやすい。 集中力を乱せば、満足に戦えない。

 この特技は、修得時に(スタミナとソウル以外の)戦闘能力を一つ、指定する必要がある。 この特技を使用した攻撃によってダメージを一点でも与えたら、 対象はパワーランクの差分値の「強度」を持つペナルティを与える。 この特技による攻撃を受けるたびに、 (能力値ごと別々に)「強度」は加算されていく。

 実際に与えられるペナルティは

  「強度」の10の位 + 1

で、この値だけ指定した能力値 (キャパシティの場合のみ減少値は2倍) が一時的に減少してしまう。

 「強度」は、ラウンドエンドごとに1ずつ低下していき、 0になるとペナルティは消滅する。
 また、能動行動時にペナルティ解除を宣言して判定を行うことにより、 (判定に失敗しなければ)パワーランク分だけ「強度」を減少させることができる。 複数の能力にまたがってペナルティを受けていた場合、 一度の判定で同時に全てを解除することができる。

 催眠[Mesmerize]:アタック
 フェロモンなどを利用して安心感を植え付け、 攻撃意欲を失わせる。

 幻惑[Confuse]:ガード
 独特の奇妙な動きやダミーとなる使い捨ての器官、 あるいは発光するなどして、相手を惑わす。

 捕縛[Bind]:リフレクス
 器用な触手や尻尾、あるいは粘着性の体液などで対象の動きを封じる。

 不快[Displease]:キャパシティ
 不快感をもよおさせるような音波や匂いを発したり、 痒みを引き起こす液を浴びせたりして、対象の集中力を乱す。

○超感覚[Wild Sence]

  • 種別:常動
  • 代償:なし
 狩る者と狩られる者。 生死を賭けた生存競争。 それに勝利し生き延びるために、感覚器官は発達する。 先に気取ることができた方が、イニシアチブを握るのだ。

 この特技を持っていると、五感のうち一つを強化することができる。 その強化の仕方により、普通では知覚不可能な事柄に対して知覚判定ができるようになる。
 また、その強化の方向性が有利に働く状況であれば、 〔感覚〕の値を1.5倍として判定を行うことが可能になる。
 鷹の眼[Hawk-Eye]:望遠視覚
 視力が良く、遠距離まで見とおせる。

 猫の瞳[Cat's-Eye]:暗視
 僅かな光量でも感知できる。 夜でも昼間のように物を見ることができる。

 蛇の三眼[Third Eye]:赤外線視覚
 可視光の範囲の外にある、赤外線を視ることができる。 それにより、通常なら見えないはずのものでも、温度の高い物体なら知覚できる。

 蝙蝠の耳[Bat's Ear]:聴覚
 人の可聴域を越えた、高周波の音域まで聞き分けることが可能。 アクティブソナーの受信機としても使用可。

 土竜の髭[Mole's Whisker]:触覚
 地面や空気を伝わる僅かな振動をも感知できる。 訓練すれば、足音から遠く離れた対象を特定することができる。

 犬の鼻[Dog's Nose]:嗅覚
 普通の人間の数千倍にも及ぶ、極めて鋭い嗅覚を持つ。 その精度は、体臭から感情が伺えるレベルであり、わずかな残り香すら嗅ぎ分ける。

 グルメの舌[Tongue of Epicure]:味覚
 味覚が異常に優れている。 料理に使われた食材はもちろん、火の通し方やわずかな隠し味まで判別可能。 ただし、受けた感覚が何であるかを理解するための最低限の訓練は必要である。



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