マインド〔Mind〕

基本攻撃属性:フォース

2004/02/11


スタイル解説

 自己と他者の境界を感じ取り、越える者。

 なぜ皆は、自分のことがわからないのか。 なぜ自分は、皆のことがわかるのか。
 それは、マインドが一度は感じる疑問。 人の意識は、薄い膜をはさんで隣りあっている。 そこから一歩、踏み出せば、容易に接触を図ることができる。 それは、とても簡単なこと。

 果たして自分がおかしいのか、 それとも、皆がおかしいのか、 それは、わからない。
 ただ、間違いなく言えることは、 この能力は、周りに忌避される、 ということである。

 言葉を使わず、誤解を生まず、 意志の疎通を図れる彼ら。 それは、望まれない新人類なのかもしれない。


特殊能力:精神感応〔Telepathy〕

 人は互いに意志を疎通するための手段として、 言葉という道具を生み出した。
 しかし、言葉が発達し、 言葉に頼るようになればなるほど、 意志は正しく伝わらなくなる。 嘘が混じれば、事態はより悪化する。

 もし、完璧に意志を伝える手段があったらどうなるのだろうか。 精神感応はまさにそのような能力である。
 他人の意識野に直接アクセスする能力。 これさえあれば、完全なる相互理解も夢ではない。 そうすれば、誤解や行き違いによる争いは絶対に起こらなくなる。

 しかし、果たして人はそれを望んでいるのだろうか? 完全な相互理解とは、個の喪失を意味するのかもしれない。 そして、自我(エゴ)はそれを恐れる。 精神感応は争いを止める力にはなり得ないのか、それは誰にもわからない。


特技

◎パーソナルスペース[Personal Space]

  • 種別:防御
  • 代償:スタミナ(増加分)
 マインドが強く他を拒めば、 それは確実に周りに影響を与える。
 意識野で跳ね除けられたとき、 肉体はそれにあがらいきれない。 危害を加えようとしても、 思わず、力が緩んでしまうのである。

 防御時にこの技の使用を宣言し、 スタミナを消費することにより、 そのときのガードを2倍としてダメージ計算を行う。
 この効果は瞬間的なものであるため、 通常時はさほど役に立たない。
 また、自動機械のような感情の存在しない手合いには、 役に立たない。


○マインドコネクト[Mind Connect]

  • 種別:判定 / 武装(無制限)
  • 代償:なし
 意志を隔てる壁を越え、 他者の意識にアクセスする。 マインドの最も基本的な能力である。
 しかし、強引に影響を与えるのでなく、 静かに、正確に接続することは、案外と難しい。 それができる者は、言葉を口に出すことなく、 心と心で会話ができるという。

 意識をつなげ、対象と思考で会話をすることができる。 これは、言わば相手の意識の門を開け、 正面から入る技術である。 よって、相手に気づかれぬように接続することはできないが、 その代わり、互いに無用な影響を与えずに接続できる。

 また、戦闘中に攻撃として使用し、成功すると、 パワーランクの差分[ラウンド]の間、 術者と対象は「精神接触」状態になる。
 「精神接触」状態に入っている者どうしの行動では、 マインドは「有利」となり、 “セーフティランク”に +1 のボーナスを得る。


○エモーショナル・コントロール[Emotional Control]

  • 種別:武装(無制限)
  • 代償:なし
 対象の意識野へのアクセススピードに干渉する特技。 ただし、アクセススピードが変わっても処理速度が変わるわけではないので、 対象は無用に興奮したり、場違いに落ち着いたりすることになる。

 興奮させた場合は、 “パワーランク”の差分値[ラウンド]の間 アタックが +1 され、あらゆる行動のセーフティランクが -1 される。 リラックスさせた場合は、 アタックが -1 され、あらゆる行動のセーフティランクが +1 される。
 両者は打ち消し合う関係にある。


○イリュージョン[Illusion]

  • 種別:判定 / 武装(無制限) \\
  • 代償:スタミナ(パワーランク)
 自分の意識野の外にアクセスできるということは、 他人の情報を読み取るだけでなく、 書き込むことすら可能であることを、意味する。
 もっとも、人の意識には外部干渉を防ぐ防護壁が張られているため、 簡単に、というわけにはいかない。 一番、操作しやすいのは、外部からの情報を取りこんで処理する、 知覚系である。
 この術は、他人の知覚に干渉し、幻覚を見せる術なのである。

 対象に幻覚を与えることができるが、 パワーランクの差分値と同じ数だけの知覚しか操れない(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の5種類)。
 また、幻覚を与えつづけるためには、その間はずっと集中していなければならない。

 攻撃に組み込んで使用すると、 その攻撃に対する受動行動は不利となり、 “セーフティランク”に -1 のペナルティをこうむる。


○ブレイクダウン[Breakdown]

  • 種別:武装(『必殺』以上) \\
  • 代償:スタミナ(パワーランク)
 対象の意識野にアクセスし、滅茶苦茶にかき乱す。
 その結果、対象は強いショックを受け、酷いときには記憶が消失、混乱し、 やり方によっては精神に障害を残すことすら可能である。

 この特技による攻撃でダメージを一点でも与えたなら、 “パワーランク”の差分値[ラウンド]の間、 あらゆる行動にセーフティランク -1 のペナルティが付く。

 さらに、この特技を使用した攻撃による負傷度に応じて、 対象の記憶の一部を失わせ(あるいは混乱させ)たり、 精神障害を与えたりすることができる。
 これを行った場合、負傷度は記憶・人格に対するものとなり、 通常の負傷度とは別に扱う。 もちろん、スタミナ最大値にも影響しない。
 ただし、回復にかかる手間と時間は、通常の負傷と同様に扱う。

 気絶攻撃(P.\pageref{StanAttack}、\ref{StanAttack}「気絶攻撃」参照) と組み合わせた場合は、 負傷度を任意に下げた上で、ある程度まで効果をコントロールして良い。

記憶ダメージ表
負傷度記憶ダメージ
微傷1分以内に経験したささいな出来事
軽傷さほど大事ではない、当たり前の記憶。軽度のトラウマ
中傷衝撃的な、あるいは大切な記憶。重度のトラウマ、軽度の精神疾患
重傷完全忘却、重度の精神疾患
致命傷幼児退行、致命的な精神障害
死亡全ての人格・経験を破壊、廃人化


○サイコメトリ[Psychometry]

  • 種別:判定 / 宣言
  • 代償:なし
 情報空間とのアクセスは脳が行うが、 それだけで完結しているわけではない。 同じ場所、物や事柄に対して強く、何度もアクセスを繰り返すと、 その焦点となっていた場所、あるいは物と、 情報空間上の座標に結びつきが生まれる。 その結びつきをたどり、 対象と関係のある情報を引き出すのが、 この術である。

 場所や物体、または生物から、 それにまつわる情報を入手できる。 強い思いほど、簡単に読み取ることができるであろう。

 また、戦闘中においては、 相手の戦闘に集中した思考を感じ取ることができるため、 戦闘を優位に運ぶことができる。
 オープンフェイズで宣言することにより、 自身の行動順番を好きなように操作できるのである。
 これは、修得しているだけで自動的に発動する。


○シンクロ[Synchronization]

  • 種別:宣言
  • 代償:ソウル 1 点ずつ
 精神活動は、基本的に一人の人間の意識野において行われる。
 しかし、マインドはその限りではない。 互いの領域間にある境界線を越えてゲシュタルトを形成し、 複数のマインドの間の精神活動を共振させて、 爆発的な力を生み出すことができるのだ。

 この特技を使用する際には、複数人のマインドが必要である。 その上で、誰か一人でも〈シンクロ〉を修得していなければならない。 以上の前提を満たした上で、術への参加者がソウルを 1 点ずつ支払うことによって、 特技が発動する。

 そして、その効果は、GMに依存する。 〈シンクロ〉が起こす現象は奇跡的であり、簡単には定義できないからだ。 最低ランクの効果だと、全員で判定を行い、 その“パワーランク”を合計して処理を行うくらいである。 それ以上となると、参加した人数と消費したソウルの点数による。


○ペインキル[Painkiller]

  • 種別:宣言 / 判定
  • 代償:負傷
 痛みとは、 人体の危機を情報処理の中枢たる脳に知らせ、 対策を取らせるための情報の伝達に他ならない。
 しかし痛みは時に、痛み自身による負荷で、 本体を殺してしまいかねない。

 もちろん、人体にはそれへの対抗措置も用意されている。 それは、体内で合成した薬物の化学反応による多幸感で和らげたり、 気絶することで情報自体をシャットダウンしてしまったり、などである。

 しかし、マインドならばこれらの作業を、もっと効率良く行うことができる。 本人が拒否すればそのような操作はほとんど無理だが、 承諾すれば痛みを忌避する感情を利用して、 痛みをほとんどなくしてしまうことができるのである。

 通常時に使えば、パワーランクだけ対象の負傷度の段階を下げることができる。 ただし、これは一時的なものであり、半日ともたずに元の状態に戻ってしまう。

 また、戦闘前に使用を宣言すれば、 一人までの対象の負傷をなかったことに(スタミナ最大値をMAXに)できる。
 この効果は戦闘の間は続くが、戦闘終了時に効果が切れ、 対象の負傷度は元よりさらに一段階、上乗せしたものになる。


○I.S.ダイブ[I.S.Dive]

  • 種別:宣言
  • 代償:肉体感覚
 本来、情報空間にあるのは情報(あるいは情報量の偏り)だけであり、 そこへのアクセスや情報の処理は実空間上で行われる。
 しかし、この情報空間へのアクセスを意識的に行えるマインドならば、 情報空間上で脳の働きをエミュレートし、 情報空間だけで情報の処理を完結させることができる。

 この特技を使用すると、肉体感覚は完全に消えうせ、 自己の意識は情報空間にのみ存在することが認識できる。 情報空間からは他人の意識野は丸見えであり、 他者に対して干渉するときには、常に「精神接触」状態となる。
 また、情報空間には距離という概念が存在しないため、 1度でも接触の経験のある意識野ならば、何の障害もなく接触を試みることが可能だ。
 ただし、情報空間からは実空間を直接に知覚することはできない。 実空間を認識するには、間に(実空間に存在する)他者の仲介が必要である。

 平たく言い替えると、 この特技の使用者は幽体離脱し、 精神だけが情報空間という異世界に移動するのだ。 ここでは、今まで精神接触したことのある相手ならば、 自由に接触を試みることができるし、 そうでない人間に接触したいのであれば、 その人物がどこにいるかを何らかの手段 (関係者の精神を経由する等)を以って知らなければならない。
 そしてその代わりに、 現実世界には一切の干渉ができないのだ。 コンピュータのネットワークに近いかもしれない。

 ちなみに、なぜ情報空間上で自己の意識をエミュレートするとき、 肉体の方にある意識が消滅するのかは未だ解明されておらず、 全くの謎とされている。 一説によると、意識は肉体と情報だけで成り立つのではなく 魂の介在が不可欠であり、魂のコピーができない以上、 同時に同じ意識が複数個は存在し得ないためだという。


○ファイアウォール[Fire Wall]

  • 種別:判定 / 防御
  • 代償:なし
 意識野の周囲に防壁を張り、 情報空間への過度なアクセスを シャットアウトしてしまう。

 マインドの特技によって起きた影響を、打ち消すことができる。
 またカウンターとして使うことにより、 マインドとサイコの使用した特技のパワーランクを、 自身のパワーランクだけ減少させることも可能。

 この特技は、セーフティランクが通常より 1 高い。


○ドミニオン[Dominion]

  • 種別:組み合わせ
  • 代償:特になし
 自己の情報空間中における意識領域を拡大し、 物理的に近くにいる者たちを、まとめて巻き込んでしまう術。 この術を使うと、敵も味方もおかまいなしに、 付近にいる者全てを、マインドの特技の対象にできる。

 戦闘中なら戦闘に参加している者、 通常時なら「付近」にいる者(*1)、 全てを対象に、マインドの特技を使用できる。 特定の人物を対象から外すことはできない。

*1:近くても、壁を隔てて存在に気づいていなければ効果はでにくい。 逆に少しくらい距離が離れていても、大きな部屋の中の全員を巻き込むことはたやすい。
 注意を向けているか否かは大きな要素。 基本的にはGM判断。


○エレクトロアクセス[Electronic Access]

  • 種別:常動
  • 代償:なし
 人の脳は、情報空間にアクセスする。
 では、コンピュータはどうだろうか。 実は、コンピュータにも同様の機能がある。
 ただし、その詳細は、人とは大きく異なる。 その接続は人よりはるかに密であると同時に、 接続の経路や情報の操作の仕方が人とまるで異なり、 人にとっては植物より異質な存在である。
 普通のマインドには触れることもできない意識だが、 世の中には、そんなコンピュータの意識にアクセスできる マインドもいるという。

 この特技を修得していると、 コンピュータ相手に他の特技を使うことができる。
 ただし、 コンピュータの思考は異質なため、 理解することは大変難しい。



戻る